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ソフトバンクとAlphabet、“空飛ぶ基地局”設置へ成層圏に無人機を飛ばして基地局に(1/2 ページ)

 ソフトバンクは、2019年4月25日、AeroVironmentとの合弁会社であるHAPSモバイルを通して、成層圏に無人航空機を飛ばして通信基地局とする「HAPS事業」を展開することを発表した。無人航空機「HAWK30」も開発しており、2023年の実用化を目指す。

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 ソフトバンクは、2019年4月25日、AeroVironmentとの合弁会社であるHAPSモバイルを通して、成層圏に無人航空機を飛ばして通信基地局とする「HAPS事業」を展開することを発表した。無人航空機「HAWK30」も開発しており、2023年の実用化を目指す。また、この事業領域において、Alphabetの子会社と提携することも発表した。同日、東京都内で行われた記者会見で、ソフトバンクの副社長執行役員兼CTO(最高技術責任者)の宮川潤一氏は、「インターネットを世界中に広げたい。世界のモバイルネットワークに革命を起こす」と意気込んでいた。


会場で公開された、HAPS事業用の無人航空機「HAWK30」の模型 (クリックで拡大) 出典:ソフトバンク

きっかけは東日本大震災

 HAPSとは、成層圏に飛行させた航空機などの無人機を通信基地局のように運用し、広域のエリアに通信サービスを提供するシステムの総称だ。ソフトバンクがHAPS事業の展開を決めたきっかけは、東日本大震災だったという。震災後、同社は地震や津波などにも影響されない通信を目指して、係留気球を使った無線の中継システムを開発していたが、係留気球の場合、強風の際には使用できないなどの課題があった。そこで、気流が安定しており飛行に適している成層圏に着目したのだという。ソフトバンクは、2017年12月、AeroVironmentとHAPSモバイルを設立。HAPS事業に向けたネットワーク機器の研究開発を行っていた。

全長78mの"空飛ぶ基地局"

 今回、HAPSモバイルが発表した「HAWK30」は、地上約20kmの成層圏を旋回しながら、基地局の役割を果たす無人航空機だ。1基で直径200kmの広範囲をカバーできる点が最大の特長で、山岳部や離島、発展途上国など、通信ネットワークが整っていない場所や地域に、安定したインターネット接続環境を構築することが可能になるという。また、地上の影響を受けることなく安定した通信を実現できるため、災害時の救助や復旧活動にも活用できる。

高い運用性やカバー範囲などが説明された (クリックで拡大) 出典:ソフトバンク

 HAWK30の通信ネットワークは、地上の基地局を経由せず、スマートフォンなどのデバイスでそのまま利用ができる。また、地上基地局が提供するものと干渉しない仕組みになっているといい、効率的に相互連携させることで、広域なネットワークカバレッジを実現。ドローンなどの活用につながるほか、IoT(モノのインターネット)や5G(第5世代移動通信)の普及にも役立てられるという。

 全長約78mで、翼にはソーラーパネルを搭載、バッテリーには大容量リチウムイオン電池を使用している。10個のプロペラを備えており平均時速約110kmで飛行する。雲よりも高い高度を飛行して運用するため、ソーラーパネルで太陽光を日中は常時受けることができるほか、1年間を通して比較的風が穏やかに吹く成層圏の特長も生かすことで、6カ月連続で飛行が可能になっているという。宮川氏は、「最初はできるだけ短いサイクルでメンテナンスしながら、徐々に期間を延ばしていきたい」と話していた。


「HAWK30」の特徴 (クリックで拡大) 出典:ソフトバンク

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