SiC/GaNを生かすには「磁性部品のPCB統合」が鍵に:PCIM Europe 2019(1/2 ページ)
パワーエレクトロニクスの展示会としては世界最大規模の「PCIM Europe 2019」(2019年5月7〜9日)が、ドイツ・ニュルンベルクで開幕した。1日目の基調講演には米国Virginia TechのFred Lee氏が登壇し、「Next Generation of Power Supplies」と題した講演を行った。
パワーエレクトロニクスの展示会としては世界最大規模の「PCIM Europe 2019」(ドイツ時間:2019年5月7〜9日)が、ドイツ・ニュルンベルクで開幕した。
1日目の基調講演にはVirginia TechのFred Lee氏が登壇し、「Next Generation of Power Supplies」と題した講演を行った。Lee氏は、「既存のパワーエレクトロニクス製品は、スイッチング周波数、効率、パワー密度など、いずれの点においても大幅に進化してきた。だが、これらを活用した既存の電源設計では、性能の上限が近づきつつある」と指摘し、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)などのWBG(ワイドバンドギャップ)パワーデバイスが活用することが、鍵になると強調した。
SiC/GaNを生かせる設計手法を提案
Lee氏は「GaNとSiCは、パワーエレクトロニクスにおいてゲームチェンジャーとなるのか」という疑問を聴衆に投げかけた上で、大きく3つの課題を挙げた。EMI(電磁妨害)、EMC(電磁両立性)をどう改善するか。集積、とりわけ磁性部品をどう集積するのか。そして、パワーエレクトロニクスのプリント配線板(PCB)製造において、いかに人手を減らせるか、である。Lee氏は、これらの解決につながる可能性がある電源の設計方法を、「OBC(On-Board Chager)にSiCとGaNを用いた場合」を例に挙げていくつか提案した。
高周波におけるWBGパワーデバイスを使ったトポロジーでは、前段は、SiCを使ったZVS(Zero Volt Switching)トーテムポール型PFC(力率改善)回路、後段はGaNを用いたCLLC共振型DC-DCコンバーターを採用する方法を提案した。「こうすれば前段は300kHz、後段は500kHzで駆動できる」とLee氏は述べる。
磁性部品をいかにPCBに統合するか
講演を通してLee氏が最も強調した点の1つが、磁性部品だった。磁性部品をいかに減らして設計をシンプルにするか。そして、いかに磁性部品をPCBに統合できるかが鍵になると主張した。
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