Galaxy S10 5Gを分解 ―― ケータイで流行した2層基板が再び登場した背景と今後:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(35)(2/3 ページ)
今回は、Samsung Electronicsの第5世代移動通信(5G)対応スマートフォン「Galaxy S10 5G」の内部などを紹介しながら、最近のハイエンドスマートフォンで主流になっている“基板の2階建て構造”(2層基板)を取り上げる。
2枚の基板を使用した「Galaxy S10 5G」
図3は、Galaxy S10 5Gのメイン基板の様子である。左上は基板を斜めから見た様子。基板上部はカメラ、下部は厚みがある。2枚の基板が重なっている。図3の右側は2枚の基板を分離した様子だ。2階建て構造だ。
2階建て構造にすることで、基板面積を広げることができ、機能チップを1階の基板、2階の基板に配置することができるようになっている。ここには詳細を記さないが、4G通信対応のGalaxy S10の機能チップはパッケージベースで32個が搭載されていた。一方のS10 5Gには下基板に25個、上基板に12個の計37個が搭載されている。驚くことに、5チップも増えている!
ちなみに上記でパッケージベースと言ったのは、薬品を使って内部のシリコンを取り出すと、1つのパッケージに複数のチップが入っているものが多数存在し、シリコンベースでカウントすれば100チップ近いシリコンがGalaxyには使用されているからだ。あくまでも基板上のパッケージベースの差が5個ということだ。
S10とS10 5Gでは5つものチップ数差がある。チップそのものはわずか数平方ミリサイズ。5チップの差はしょせん誤差程度と思われるかもしれない。しかし、S10とS10 5Gの搭載チップ数で比べると約15%差であり、5個の差は“大きな差”なのである。ただでさえびっしり機能が詰め込まれたスマートフォン内部では、これ以上面積を広げる場所がない。電池を小さくすれば、駆動時間を削ることになってしまう。一方でカメラの数(体積)は年々増える一方だ。
これを解決する手法の一つが基板の2層化(スペーサーを挟む)である。スマートフォンは6インチディスプレイサイズが主流になり、明らかに普及初期の4インチ級モデルに比べて内部体積(容量)は大きくなっている。しかし、多機能化で搭載される半導体やセンサーの数は増えている。さらに電池体積も増えた。基板の2層化は増える半導体と電池の数やカメラの拡大に対する回答の一つになっている!
基板2層化は古くは携帯電話機では主流であった。携帯電話機時代は、厚さ競争が存在しなかったからだ。しかしスマートフォンでは厚さが競争軸の一つになり、1層基板がここ5年の主流、現在では7~9mmの厚みが実現されている。2層化された基板を、復活させ最初に使ったのは、2017年発売のApple「 iPhone X」であった。そして現在ではIoTエッジ機器などスマートフォン以外の機器にも2層基板が採用され始めている!!
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