「2年間フル稼働中」加賀東芝、パワー半導体増強:1.5倍の能力拡大を検討(1/2 ページ)
加賀東芝エレクトロニクスは5月29日、石川県能美市の本社で、報道関係者向けの工場見学会を行った。この日、事業内容などを説明した同社社長の徳永英生氏は、車載、産業向けのパワー半導体を生産する8インチウエハー対応の設備増強について言及し、2019年度下期には、対2017年度上期比で1.3倍、2020年度下期には、同期比1.5倍に生産能力を拡大する方針を示した。
加賀東芝エレクトロニクスは5月29日、石川県能美市の本社で、報道関係者向けの工場見学会を行った。この日、事業内容などを説明した同社社長の徳永英生氏は、車載、産業向けのパワー半導体を生産する8インチウエハー対応製造ラインの増強について言及し、2019年度下期(10〜3月期)には、対2017年度上期(4〜9月期)比で1.3倍、2020年度下期には、同期比1.5倍に生産能力を拡大する方針を示した。
8インチ製造のクリーンルームを拡大
加賀東芝エレクトロニクスは、東芝デバイス&ストレージの完全子会社で、グループのディスクリート半導体製造の中核拠点だ。敷地面積23万454m2の中には、4つのクリーンルーム棟があり、2〜8インチまでのウエハー対応製造ラインを整備。IGBTをはじめとしたパワーデバイスなどの製造を行っており、6インチおよび、8インチウエハーライン合わせて月産約15万枚(6インチ、8インチウエハー単純合計値)の生産能力を有しているという。
1984年の設立当初は、後工程工場としてスタートした。そのため、現在も約20種のパッケージのディスクリート半導体製品の組み立てを続けている。なお、2019年5月末までの累計出荷個数は1338億個にのぼるという。
東芝デバイス&ストレージとしての2018年度の売上高は9009億円。そのうち半導体は全体で3549億円で、ディスクリート半導体はその半数程度だったというが、2021年度にはディスクリート半導体だけで売上高2000億円、営業利益率10%を目指すとしているという。徳永氏は、車載、産業市場を中心にパワーデバイスの需要が高水準で推移していることに触れながら、加賀東芝エレクトロニクスの稼働率について「8インチの施設は、ここ2年ほどフルで稼働している」と述べた。
こうした状況から、徳永氏は「われわれが最も注力しているのは8インチだ」と説明。加賀東芝エレクトロニクスは、8インチウエハー対応の前工程製造用クリーンルームを増強していく方針で、2019年度下期には、対2017年度上期比で1.3倍とするための整備を進めているうえ、2020年度上期には、同期比1.5倍に増強する検討を進めていることも明かした。
徳永氏は「1.3倍については、既にエリア拡張工事も終わっている。新しい設備を入れていき能力を増強していくフェーズに入っている」と説明した。一方、PC向けのものなどが多い6インチ以下の製品については、Intel製のCPUの供給不足の問題を挙げつつ、「生産の勢いが落ちてきていて、稼働率は80%程度となっている」と述べた。
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