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「2年間フル稼働中」加賀東芝、パワー半導体増強1.5倍の能力拡大を検討(2/2 ページ)

 加賀東芝エレクトロニクスは5月29日、石川県能美市の本社で、報道関係者向けの工場見学会を行った。この日、事業内容などを説明した同社社長の徳永英生氏は、車載、産業向けのパワー半導体を生産する8インチウエハー対応の設備増強について言及し、2019年度下期には、対2017年度上期比で1.3倍、2020年度下期には、同期比1.5倍に生産能力を拡大する方針を示した。

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クリーンルームや製造工程を公開

 この日行われた工場見学会では、増強中の8インチウエハー前工程製造用クリーンルームが公開された。クリーンルームは奥行き126m、幅72m、高さ4.5m。3分の2が既に稼働中で、これまで使っていなかった残り3分の1ほどのスペースを新たに整備中であり、徐々に機器を搬入している状況が確認できた。


クリーンルーム内の様子(クリックで拡大)出典:東芝デバイス&ストレージ

 さらに、実際の製造工程についての説明も行われた。同社では、生産性、品質向上を図り、スマートファクトリー化が進められており、生産進捗、技術プロセス、品質情報などのデータをネットワークでリアルタイム管理している。前工程のラインでは、ウエハー25枚(1ロット)を収納したキャリーケースには、ロットの各ステータスを記載した電子ペーパーやRFIDタグを取り付けており、作業員がキャリーケースを処理用の機器に設置すると、認証システムがロット情報を読み取って加工の条件(レシピ)が反映され、処理が開始される仕組みとなっていた。説明担当者は「間違った情報の場合は機器が作動することはない。作業者のミスも防止することができる」と話していた。


工場見学の前には、ディスクリート半導体の製造工程の説明も行われた。

 また、落雷による瞬間的な電圧低下や停電対策も行っている。北陸は冬季に雷が激しくなる傾向があり、徳永氏は、「0.1秒程度の停電でも、生産に非常に大きな影響を与える」と説明。その対策として、電圧低下や停電を検出すると、入力電源を高速に遮断するとともに、双方向コンバーターがエネルギー蓄積装置から工場インフラへの給電を始めるMPC(多機能変換装置)という装置を配置していることを紹介した。同装置は、過去10年間で214回作動し、安定した電力供給を実現しているという。

 このほか、後工程のラインも公開された。ここでは、小型、薄型パッケージのSiディスクリートデバイスを製造。同社が開発した高密度の「Matrixライン」によって材料効率を高め、高品質かつローコスト製造を実現している。また、開発、製造、解析や組み立てまで一括して行っていることから、「最短24時間の納期にも対応可能」だという。

左=加賀東芝エレクトロニクスの前工程の主要製品/右=加賀東芝エレクトロニクスの後工程の主要製品

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