5Gのその次へ、日欧共同プロジェクト「ThoR」とは?:無線で光同様の通信を実現(1/2 ページ)
5G(第5世代移動通信システム)の商用サービス実現が2020年に迫る中、5Gのさらに次の世代となる「Beyond 5G」の研究も始まっている。日本と欧州の産学官が共同で研究を進めるプロジェクト「ThoR(ソー)」について、プロジェクトリーダーを務める早稲田大学理工学術院教授の川西哲也氏が、2019年5月29〜31日に東京ビッグサイトで開催された「ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP)2019」で、その研究内容について説明した。
Beyond 5G実現を日欧共同で目指す
5G(第5世代移動通信システム)の商用サービス実現が2020年に迫る中、5Gのさらに次の世代となる「Beyond 5G」の研究も始まっている。日本と欧州の産学官が共同で研究を進めるプロジェクト「ThoR(ソー)」について、プロジェクトリーダーを務める早稲田大学理工学術院教授の川西哲也氏が、2019年5月29〜31日に東京ビッグサイトで開催された「ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP)2019」で、その研究内容について説明した。
ThoR(TeraHertz end-to-end wireless systems supporting ultra high data Rate applications:大容量アプリケーション向けテラヘルツエンドトゥーエンド無線システムの開発)は、実際のネットワークに接続可能な300GHz帯高速無線伝送システムの構築を目指し、日欧の産学官が共同で研究を行うプロジェクト。欧州委員会の「Horizon2020」および、国立研究開発法人情報通信研究機構の委託研究であり、2018年7月にスタートしており、2021年6月末まで実施される予定だ。
無線で光同様の伝送能力を実現する
高い周波数を利用するBeyond 5Gでは膨大な数の基地局をネットワークに接続することが想定される。多数の基地局のためのバックホール、フロントホールのネットワークは、都市部では伝送能力が高い光ファイバーを利用することが多いが、膨大な数の基地局を全て光ファイバーで接続することは困難だ。そのため、このプロジェクトは、光ファイバー通信同様の伝送能力と、従来の固定無線システムが持つ装置の容易性を兼ね備えた無線技術の開発を目的として進められているという。
日本側は早稲田大学、千葉工業大学、岐阜大学、NEC、高速近接無線技術研究組合(HRCP)、欧州側は、ドイツのブラウンシュバイク工科大学、ドイツテレコム、フラウンホーファー応用固体物理研究所、シュトゥットガルト大学、フランスのリール第一大学、英国のVIVID Components、イスラエルのSiklu Communicationsが参加。日本側が有する高速無線信号処理技術やテラヘルツ(以下、THz)帯増幅技術と、欧州側が有するTHz帯半導体回路技術などを融合させた研究開発を行っている。
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