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Huaweiへの輸出禁止措置で最も痛手を負うのは米国?レアアース輸出制限の可能性も(1/2 ページ)

Huaweiは米国の半導体チップを始めとするさまざまな部品の供給を止められることで、短期、中期的には深刻な影響を受けることになるだろう。しかし、アナリストの中には、「長期的に見ると、中国が自立への取り組みを強化し、欧州やアジアなどに拠点を置くサプライヤーからの部品調達を重視していけば、最も強い痛みを感じることになるのは確実に米国のサプライヤーの方だ」とする見方もある。

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 Huaweiの創業者は怒りのあまり、「米国は、中国の電気通信市場の巨人である当社を見くびっている」と主張していたが、米国の半導体チップを始めとするさまざまな部品の供給を止められることで、短期、中期的には深刻な影響を受けることになるだろう。一部の観測筋からは、Huaweiが今後も存続していけるのかどうかを疑問視する声も上がっている。

 しかし、アナリストの中には、「長期的に見ると、米国メーカーが半導体チップなどの部品をHuaweiに販売することを禁じる措置に対して、中国が自立への取り組みを強化し、欧州やアジアなどに拠点を置くサプライヤーからの部品調達を重視していけば、最も痛手を被ることになるのは確実に米国のサプライヤーの方だ」とする見方もある。

「米国は、完全に信頼を失った」

 米国の市場調査会社であるIC Insightsでプレジデントを務めるBill McClean氏は、EE Timesのインタビューに応じ、「中国のスマートフォンメーカーをはじめとするさまざまな電子システムメーカーについて見てみると、今後数十年間に限っていえるのは、これらの全てのメーカーが、システム向けとして新しい設計を手掛ける際には、基本的に米国以外のメーカーの製品を探すだろうということだ」と述べている。

 McClean氏は、「中国のシステムメーカーは将来的に、米国メーカーが提供する部品より、使用可能な代替品の方を選択するだろう。例えば、もしTexas Instruments(TI)の部品が、STMicroelectronicsやNXP Semiconductors、ルネサス エレクトロニクスなどと競合する場合、中国メーカーは、TIではなく、他の競合メーカーのものを選ぶだろう」と述べる。

 同氏は、「たとえ今回の問題が明日解決したとしても、中国メーカーは可能な限り、米国メーカーを避け続けるだろう。中国は今回、米国に対する恐怖を感じたために、韓国や日本、欧州などのメーカーに目を向け始めている。もし代替品があるなら、必ずそちらの方を選択するだろう。米国は、完全に信頼を失った」と述べている。


Huaweiのトップサプライヤーである米国企業のリスト:出典:Goldman Sachs(クリックで拡大)

 米国の市場調査会社International Business Strategies(IBS)のCEOであるHandel Jones氏は、EE Timesのインタビューに対し、「今回のHuaweiへの供給禁止措置は、中国が自立に向けて現在進めている取り組みを後押しすることになる。中国政府は、国内の半導体製造を強化すべく、ここ数年間で既に数十億米ドル規模の資金を投じている他、さらに今後10年間で1600億米ドルを超える資金を投入することにより、外国メーカーの半導体への依存度を下げ、中国国内の大規模な半導体市場に供給していくことを目指している」と述べる。

 Jones氏は、「こうした取り組みは長期的に見て、米国からの独立を実現していく上で非常に重要だといえる。中国は、TSMCやライバルであるSamsung Electronicsとの接触を維持できさえすれば、早ければ3〜5年の間に、米国の半導体チップから完全に独立できるようになるだろう」と予測している。

 米国の投資銀行であるGoldman Sachsによると、少なくとも70社の米国企業が、Huaweiと重要な関わりを持っているという。IntelやQualcomm、Xilinx、Broadcomなど、多くの米国半導体メーカーは、米国政府の輸出禁止命令に従い、Huaweiへの供給を停止している。ジャパンディスプレイや東芝、TSMCなどの米国以外の企業は、制限された米国技術に関する自社のサプライチェーンの調査結果を報告している(TSMCは後に、2019年中は、Huaweiの子会社であるHiSiliconへのウエハー供給を継続する予定だと発表している)。

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