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10kHzまで測れる振動センサー、手軽に装置の予知保全MEMS加速度センサー採用で安価に(2/2 ページ)

振動発生器や振動測定器を手掛けるIMVは2019年7月17日、新しい振動ピックアップ(振動センサー)「VP-8021A」を発表した。VP-8021Aの最大の特長は、MEMS加速度センサーを採用しながら、従来の一般的な圧電式振動ピックアップの計測範囲に近い8kHz周辺まで対応しているという点だ。

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軸受け異常を測定できる振動周波数までカバー

 記者説明会で行ったデモでは、VP-8021Aに振動を加え(加振)、基準となる校正用の圧電式加速度センサーと振動周波数を比較する様子を紹介した。

左=デモの環境。手前が基準となる加速度センサーとVP-8021A。その他、加振機、アンプ、振動制御機、振動周波数を見るためのオシロスコープで構成されている/中央=横軸は振動周波数で、縦軸は、振動計測値と印加振動の比率。10kHz付近までは「1」を維持している/右=横軸の最大値となる20kHzに到達。10kHzを超えたあたりから、比率が大きくずれてきた(クリックで拡大)

 ADXL1002と、IMVの雑音振動を抑制する技術。この2つによって、VP-8021Aは、軸受け異常を測定できる振動周波数までカバーしつつ、コストを抑えることに成功した。VP-8021Aの具体的な価格については明らかにしなかったが、川平氏は「量産すれば、適正価格まで下げられると考えている」と述べた。


VP-8021Aは、振動周波数を10kHzまで引き上げつつ、コストを抑えることができたという 出典:IMV(クリックで拡大)

「振動」を「温度・圧力」と同等のパラメーターに

 IMVの狙いは、手軽に使える振動ピックアップを開発することで、振動データによる予知保全を促進し、パラメーターとしての振動の有効性を認識してもらうことだ。

 「われわれが最も懸念しているのは、“振動データは使えない”と思われてしまうことだ。温度センサーや圧力センサーと同じくらい気軽に使える振動ピックアップを提供することで、振動が、温度や圧力と同列に並べるくらいのパラメーターになっていくと考えている」(川平氏)

 さらに、VP-8021AをPLCに接続して使用してもらうことも鍵になるという。IMV執行役員 MES事業本部長を務める西原弘之氏は、「三菱電機やオムロン、キーエンスなどのPLCにVP-8021Aを採用してもらえれば、振動データを使った予知保全の市場が一気に拡大するのではないか」と述べた。


PLCとの接続イメージ 出典:IMV(クリックで拡大)

 また、IMVは、同社の既存の振動ピックアップで収集したデータをクラウドに送信するサービスにも注力しており、いずれはVP-8021Aもそうしたクラウドサービスに対応する予定だ。川平氏によれば、将来的には、VP-8021Aなどの振動ピックアップで収集した振動データを使ったビジネスも視野に入れているという。

 IMVの社長を務める小嶋淳平氏は、「VP-2081Aは、IoT(モノのインターネット)時代に先立つ新しい振動ピックアップだ。これによって、振動を測るビジネスを大きく発展されていきたい」と語った。

 VP-8021Aは、2019年夏に限定顧客を対象に評価用サンプルを出荷し、量産は同年9月を予定している。

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