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EV市場の“有望株”は東南アジア、急成長への期待充電インフラなどの課題もあるが(1/2 ページ)

ASEAN諸国は、今後5年の間に、最も成熟した電気自動車(EV)市場の一つになるとみられている。必要とされる技術のほとんどが、既に現地にあるか、または今後実現される見込みだということに加えて、電気自動車への切り替えに対する消費者たちの意欲も大きいなど、あらゆる状況が良い方向に向かっているためだ。

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 ASEAN諸国は、今後5年の間に、最も成熟した電気自動車(EV)市場の一つになるとみられている。必要とされる技術のほとんどが、既に現地にあるか、または今後実現される見込みだということに加えて、電気自動車への切り替えに対する消費者たちの意欲も大きいなど、あらゆる状況が良い方向に向かっているためだ。


画像はイメージです

 アジアの新興国では現在、「交通」が、「渋滞」や「排ガス」と同義語になっている。さまざまな主要都市において、危機的状態にある空気汚染が問題となっていることから、こうした都市での車の運転は、悪夢のような経験になりかねない。このため東南アジアでは、環境にやさしい持続可能な戦略の採用に向けた動きが活発になっていて、電気自動車技術の開発と導入が進められているのだ。

 ますます多くの消費者が環境問題を意識するようになってきたことで、電気自動車に対する需要も増加している。これらの新興地域では、個人的な移動手段の市場に電気自動車が登場したことにより、運転に対する意識が劇的に変化している。

 国際再生可能エネルギー機関(IRENA:International Renewable Energy Association)が発表したレポートによると、東南アジア諸国において路上を走行する自動車全体のうち、電気自動車の占める割合は、2025年までに20%に達する見込みだという。二輪車および三輪自動車は5900万台、四輪車は890万台と予測されている。ASEANには10カ国が加盟しており、合計人口は6億4000万人に達することから、さらなる成長の余地が見込まれる。

 Quantelでマーケティングディレクターを務めるEric Yip氏は、「最先端を行く主要国として挙げられるのが、タイとベトナムの2カ国だ。ベトナムでは、電気自動車の中でも特に電気バイクが成長市場である。一方タイでは、自動車の販売台数が120万台に達する見込みであることから、東南アジア全体の自動車市場規模が非常に大きくなってきている」と述べる。

 Yip氏は、「さまざまな自動車メーカーが、電気自動車への移行を進め、その導入に向けた体制を整えている。中には既に、電気自動車全体ではなく構成部品の製造に着手したメーカーもあるようだ。東南アジアは近々、例えばバッテリーなどの電気自動車向けの主要部品をほぼ全て製造する、潜在的な巨大市場になるとみられている」と続けた。

 EDAベンダーであるMentor Graphicsによると、東南アジアの自動車メーカーでは現在、電気自動車の電子機器を社内で設計する傾向が強まっているという。電子機器は、自動車の差別化において重要な部分を担うようになり、今や中核技術ともいえる。同社で台湾/ASEAN担当ゼネラルマネジャーを務めるNina Lin氏は、「メーカー各社は、設計プロセス全体を管理し、製品のトレーサビリティに注力することが求められる。このため、設計ライブラリや設計データなどの、デジタルデータ管理に焦点を絞る必要がある。FordやGMなどのメーカーはこれまで、PCB設計データ管理インフラストラクチャに膨大な投資をしている」と述べる。

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