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「光トランシーバー」は光伝送技術の凝縮光伝送技術を知る(7) 光トランシーバー徹底解説(1)(1/4 ページ)

今回から、光トランシーバーについて解説する。データセンター、コンピュータや工場内ネットワークで使用される80km程度以下の中短距離光リンクを中心に、ストレージ、ワイヤレスやアクセス通信ネットワークなど、多様なアプリケーションで使用されている光トランシーバーを紹介する。

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 光ネットワークの重要なコンポーネントの一つが光トランシーバーだ。今回から始まる新シリーズでは、光トランシーバーについて解説したい。光トランシーバーには光伝送技術が凝縮されている。それを知ることで光伝送技術への理解がさらに深まるだろう。

 ここでは、データセンター、コンピュータや工場内ネットワークで使用される80km程度以下の中短距離光リンクを中心に、ストレージ、ワイヤレスやアクセス通信ネットワークなど多様なアプリケーションで使用されている光トランシーバーを紹介する。技術課題や将来動向の他、技術者を悩ませることがある光トランシーバーの仕様や認定、故障・信頼性にも触れていきたい。

 なお、記事中で「100G」はおよそ100Gビット/秒を指しており、「ビット/秒」が省略されている。正確なビットレートは規格により異なる。また、「10GbE」は10Gbit Ethernet/10Gイーサーネット規格のことである。

光トランシーバーの種類

 さて、まずは光トランシーバーの種類を取り上げよう。

 光トランシーバーの種類は多く、その多さに辟易(へきえき)している技術者も少なくない。「選択に困った」「提案された種類が最適かどうかも分からない」と言った声もあると聞く。ひと部屋に並べた装置ごとにトランシーバーが異なり、これらを接続するために、多くの種類のトランシーバーが必要になる。

 図1は米国Arista Networks(以降Arista)のデータセンター向けSpineスイッチ「7500シリーズ」である。Aristaには現時点で最上位機種の「7800シリーズ」があるが、ここでは、光のインタフェースの多様さから一段下位の7500シリーズを選択した。

 では実際に、光トランシーバーに関連した項目を仕様書(インターネットで入手できる)から読み取ってみよう。


図1:Arista製スイッチとそのポート仕様*1)(クリックで拡大)

 「7500R3シリーズ」は、Technical Specification*1)によれば3機種ある。それぞれ、サポートしているポートの種類と最大数を図1左に示そう。製品番号が上がるにつれ各種類のポートの最大数が2倍、3倍となっている。図1右の装置写真を見ると、多数のレセプタクル(トランシーバーの挿入口)が2列並んでいるユニットが右から4台、8台、12台と積み重なっているのが分かる。このユニットをLine cardといい、スイッチの肝である。

*1)Technical Specification(May 29, 2019 03-0046-02)(2019年6月に確認)

 7500R3シリーズには4種類のLine Cardがあり、図2の左にその最大ポート数を示す。10GbE〜400GbE(GbE: Gigabit Ethernet)のポートをサポートしている。図2右にスイッチに装着されるLine Cardの写真を示す。それぞれ36個と24個の2種類のトランシーバーを挿入するレセプタクルがある。このレセプタクルにトランシーバーを挿入しポートを設定する。ポートの設定はレセプタクル単位、トランシーバー単位である。


図2:スイッチのLine Cardとそのポート仕様*1)(クリックで拡大)

 さらに、Technical Specificationを読み進めると「Supported Optics and Cables」の項でインタフェースの種類が示されているので、それを図3に示そう。40種類ものインタフェースがサポートされていることが分かる。

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