SiCパワー半導体市場、2024年までに20億米ドルに成長:Yoleが市場予測
フランスの市場調査会社Yole Développement(以下、Yole)は、2019年7月、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体市場が2024年までに20億米ドルに達する、という予測を発表した。Yoleはさらに、同市場が「2018年から2024年の間、年平均成長率29%で成長する」としている。
フランスの市場調査会社Yole Développement(以下、Yole)は、2019年7月、SiC(炭化ケイ素)を用いたパワー半導体の市場規模が2024年までに20億米ドルに達する、という予測を発表した。Yoleはさらに、同市場が「2018年から2024年の間、年平均成長率29%で成長する」としている。
EV車載分野がパワー半導体市場をけん引
Yoleは、自動車業界で今後、EV(電気自動車)技術に総額3000億米ドル以上の投資が行われる見通しであることなど、「xEVの市場は爆発的な成長を遂げている」と説明。その上で、車載分野が、SiCパワー半導体市場の主要なけん引役であり、2024年には同市場全体の49%を占めるとする予測を示した。自動車業界では、オンボードチャージャー(On-Board Chager/OBC)などでSiCの採用が進んでおり、Yoleは、「同様のアプリケーションは今後数年で広く開発されるだろう」としている。
自動車メーカーのTeslaは既に、Model3のメインインバーターとしてSiCモジュールを採用しているが、Yoleの半導体部門の主席アナリスト、Hong Lin氏は、「2018年から2019年、自動車業界はメインインバーターへのSiC採用へ大きなシフトを見せている。TeslaがSiC技術を実装したことで、自動車業界は引き返せないところまで来た。他の自動車メーカーもSiCを採用するかどうかについての議論が、2019年のテーマだ」と話している。
フルSiCモジュールの道のりは始まったばかり
一方で、Yoleは、「現在、車載に適したモジュールのサプライヤーは限られている」と指摘。「現在のSiCサプライチェーンのレベルでは、まだ多くの課題があり、フルSiCモジュールについては、まだ長い道のりが始まったばかりだ」としている。
YoleグループのSystem Plus Consultingのコスティングアナリスト、Amine Allouche氏は、「SiCトランジスタデバイスの技術的な全景はまだ変化している。金型設計に関しても、JFETやMOSFET、最新のトレンチやプレーナ構造の中から、別のソリューションを見つけることができる。また、SiCの高性能化に対して、標準的なパッケージングはまだ最適化されておらず、新しい設計や素材が継続的に導入されている。これは、パッケージング分野で新規の企業、特に半導体後工程受託製造(Out Source Assembly and Test/OSAT)企業の参入にもつながる」としている。
ウエハー生産能力2024年には30倍
Yoleは、過去2、3年のSiCウエハー市場について、4インチから6インチへの移行の動きが需要の増大と相まって、供給不足状態となったと説明している。
しかし、CreeがSiC材料の大型工場建設などを含む4億5000万米ドルの投資を発表するなど、各メーカーが生産能力拡大に向けて投資を進めていることから、2017年度の第1四半期と比較し、2024年度のSiCウエハー製造能力は30倍になると予測しているという。
こうした動きは、米国のII-VI Incorporatedや中国のTankeBlue、その他の企業も追随しているといい、Yoleは、「2019年の供給は、はるかに良好な形で行われるだろう」としている。
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