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5GでのHuawei機器採用、苦悩する英国地政学的な慎重さが必要(1/2 ページ)

英国の2つの政府委員会が2019年7月、同国の5G(第5世代移動通信)ネットワークにおけるHuawei製品の採用をめぐり、その見解を明らかにした。

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「排除すべき」という技術的根拠はないが……

 英国の2つの政府委員会が2019年7月、同国の5G(第5世代移動通信)ネットワークにおけるHuawei製品の採用をめぐり、その見解を明らかにした。英国政府の結論としては、Huaweiの機器をネットワークインフラから排除しなければならない技術的根拠はないとしながらも、米国やオーストラリアといった同盟国との間の政治的および倫理的問題や認識について、考慮する必要があるという。

 英国議会の科学技術選択委員会は今回、2019年6月に行われた議会審理において、5Gエコシステムの主要なプレーヤー企業から聴取した証言に基づき、英国の5Gをはじめとする電気通信ネットワークにおいて、Huaweiの参入を完全に排除しなければならない技術的根拠は存在しないとの結論を下した。この時の証言を行ったプレーヤー企業としては、機器メーカー(Huawei、Nokia、Ericsson)や、通信事業者(BT、Vodafone、O2、Three)、5Gおよび通信研究を手掛ける学術団体(University of Surrey、University of Oxford、Munich University of Applied Sciences)などが挙げられる。

 しかし、同委員会の議長を務めるNorman Lamb氏は、デジタル・文化・メディア・スポーツ省大臣に宛てた書簡の中で、「政府は、Huawei製品を採用すべきかどうかを判断する際に、地政学的/倫理的な配慮を十分に行う必要がある。また、Huaweiの技術を採用することにより、英国が現在、主要同盟国との間で進めている協業体制が、危機にさらされるようなことがないかを検討する必要がある」と指摘している。


英国議会でのディスカッションの様子 画像:英国議会

 またLamb氏は、「5Gには明らかにメリットがあるため、既存または未来のネットワークからHuaweiを排除するとなると、大きな後れが生じる恐れがある」と述べる。

 公聴会では248件の質問が提示され、ネットワークセキュリティや脆弱性、ネットワークデータへのアクセス権限をどこまで与えるのか、などについて徹底的な議論がなされた。通信事業者の多くは、Huaweiの機器をコアでは採用していないとしているが、5Gネットワークは基本的に、既にレガシー機器が存在する4Gコアを使用しているため、切り替えることは難しいだろう。

 Nokia UK&Irelandで技術部門の責任者を務めるSteve Sampson氏は、5Gではどのようにネットワークコンポーネントが分解され、一部の機能がアンテナシステムの近くに配置されるのかについてコメントしている。同氏は、「将来的には、主にデータパスやユーザープレーンに関連するコア機能は、モバイルエッジコンピューティング分野に移行し、そこから他のネットワークに直接接続することで、レイテンシを制限して、重要なサービス向けにレイテンシを低減できるようになるだろう。これは、5Gサービスの主要な理念の一つだといえる」と述べている。

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