主要メーカーの5Gモデムが出そろう、量産も本格化:IFA 2019(1/2 ページ)
米国の「CES」に相当する欧州最大の家電展示会「IFA2019」(2019年9月6〜11日)がドイツのベルリンで開催され、Huawei、Samsung Electronics(以下、Samsung)、Qualcommの各社が5G(第5世代移動通信)モデムを統合したモバイルプロセッサを発表した。
米国の「CES」に相当する欧州最大の家電展示会「IFA 2019」(2019年9月6〜11日)がドイツのベルリンで開催され、Huawei、Samsung Electronics(以下、Samsung)、Qualcommの各社が5G(第5世代移動通信)モデムを統合したモバイルプロセッサを発表した。
7nm+ EUVプロセスで製造した「Kirin」
Huaweiが「世界初のフラグシップ5G SoC(System on Chip)」と強調し、鳴り物入りで発表したのが「Kirin 990 5G」だ。TSMCのEUV(極端紫外線)リソグラフィを用いた7nm+ プロセス(7nm+ EUV)で製造された、103億個のトランジスタを搭載するチップで、NSA(非スタンドアロン)とSA(スタンドアロン)の両方の無線アーキテクチャに対応する。同チップは、数週間以内に発売される「Huawei Mate 30」に搭載される。
Kirin 990には、5Gをサポートするバージョン「Kirin 990 5G」と4Gまでをサポートする標準バージョンの2つのバージョンがある。2つのバージョンには、この他にも重要な違いがある。5Gチップは7nm+ EUVプロセスで製造され、NPU(Neural Processing Unit)は1つではなく2つの大型コアを搭載する。5Gと4Gの両バージョンのアーキテクチャは、16コア(MC16)の「Mali-G76」GPUを搭載した8コアCPUをベースとしている。Huaweiによると、5GチップのCPUは、2個の大型コア「Cortex A-76」(動作周波数2.86GHz)と2個のミドルコア(動作周波数2.36GHz)、4個の小型コア(動作周波数1.95GHz)を搭載するという。
Kirin 990 5GのCPUアーキテクチャは、前世代の「Kirin 980」と比べて全体的な性能が20%、エネルギー効率が30%向上する。Huaweiは、「NPUは、自社開発の『DaVinci』アーキテクチャに強力な大型コアと超低消費電力のマイクロコアを組み合わせることで、Kirin 980と比べてAI性能が138%と大幅に向上する」と述べている。Kirin 990シリーズは、ISP(Image Signal Processor)とブロックマッチング、3Dフィルタリングハードウェアレベルのノイズリダクションを組み合わせることで、Kirin 980よりも15%高い画像処理性能を実現する。
GPUのMali-G76 MC16アーキテクチャは、前世代のチップと比べて性能が30%向上し、エネルギー効率が46%最適化され、ゲームで没入型グラフィック体験ができるという。
Huaweiのモバイルプロセッサは、SoCに同社の5Gモデム「Balong」を直接統合し、5G/4G/3G/2Gネットワークをサポートする。Huaweiによると、6GHz以下の帯域におけるKirin 990 5Gのピークダウンロードレートは、理論上は2.3Gビット/秒(Gbps)、アップロードレートは1.25Gbpsに達するという。
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