主要メーカーの5Gモデムが出そろう、量産も本格化:IFA 2019(2/2 ページ)
米国の「CES」に相当する欧州最大の家電展示会「IFA2019」(2019年9月6〜11日)がドイツのベルリンで開催され、Huawei、Samsung Electronics(以下、Samsung)、Qualcommの各社が5G(第5世代移動通信)モデムを統合したモバイルプロセッサを発表した。
Qualcommは「Snapdragon 5G」を拡張
Qualcomm Technologiesは、「Snapdragon 5G」プラットフォームのポートフォリオを、同社の5GモデムRFシステムをベースとして、2020年中に発表予定の「Snapdragon 8シリーズ」と「同7シリーズ」「同6シリーズ」に拡充する計画を発表した。全ての主要な地域をサポートする他、ミリ波やサブ6GHz帯などの周波数帯、TDD/FDDモード、5GマルチSIM、DSS(Dynamic Spectrum Sharing)、SA/NSAネットワークアーキテクチャなどにも対応することにより、5Gネットワーク開発ロードマップのグローバルな展開を実現していくという。
このプラットフォームは、同社が2019年2月に発表した「X55 5G Modem-RF System」をベースとする。商用5GモデムやRFトランシーバー、RFフロントエンド、ミリ波アンテナモジュール、ソフトウェアフレームワークなどを搭載することにより、5G技術の優れた省電力化と性能向上を実現する。
これらのプラットフォームの中で、2019年第4四半期に最初に商用化を実現するのが、Snapdragon 7シリーズの5Gモバイルプラットフォームだ。7nm SoCに5Gを搭載することにより、幅広い顧客層に向けて、「Qualcomm AI Engine」や「Qualcomm Snapdragon Elite Gaming」などのプレミアム機能の選択をサポートする。
Qualcommは、「将来的に、OPPOやrealme、Redmi、Vivo、Motorola、HMD Global(Nokiaの携帯電話機を販売)、LG Electronicsなどをはじめ、全12社の世界的な大手携帯電話機メーカーやブランドが、今回新しく統合されたSnapdragon 7シリーズの5Gモバイルプラットフォームを、自社の5Gモバイルデバイスで採用する予定だとしている」と述べる。このプラットフォームに関する詳細は、2019年中に全て明らかになる見込みだ。
一方、Snapdragon 6シリーズの5Gモバイルプラットフォームをベースとしたデバイスが商用化されるのは、2020年後半になるとみられている。また、フラグシップモデルとなるSnapdragon 8シリーズの5Gモバイルプラットフォームについては、2019年中に詳細が明らかになる見込みだ。
Samsungは同社初の5Gモデム搭載プロセッサを発表
Samsungは、最先端の8nm FinFETプロセス技術を適用した、同社にとって初となる5Gモデム搭載AIモバイルプロセッサ「Exynos 980」を発表した。
Exynos 980のモデムは、5Gから2Gまでのネットワークをサポート可能で、4G LTEでギガビット級のダウンリンクを提供し、5Gの6GHz帯以下(サブ6GHz帯)で最大2.55Gbpsを実現する。また、2CC(Component Carrier) LTEと5G接続を組み合わせて最大3.55Gbpsのモバイルダウンリンクを実現する、E-UTRA-NR-DC(EN-DC)にも対応可能だ。さらに、新しく策定された「Wi-Fi 6」標準規格(IEEE 802.11ax)をサポートすることにより、Wi-Fiネットワーク上でのオンラインゲームや高解像度ビデオストリーミング向けに、高速化と安定性向上を実現するという。
Exynos 980は、2019年末までに量産を開始する予定だ。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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