「5G基地局の出荷は順調」、Huaweiが強調:ベンダー間の競争は激化へ(1/2 ページ)
Huaweiは2019年9月初めに、中国 成都で開催した第5回目となる「Innovation Asia Day」において、同社の5G(第5世代移動通信)対応基地局の世界出荷数量が20万台に達したと発表した。また、現在までに締結した5G基地局関連の契約は、50件に上るという。
5G基地局の出荷は「順調」
Huaweiは2019年9月初めに、中国 成都で開催した第5回目となる「Innovation Asia Day」において、同社の5G(第5世代移動通信)対応基地局の世界出荷数量が20万台に達したと発表した。また、現在までに締結した5G基地局関連の契約は、50件に上るという。
Huaweiは2019年6月に、深センで開催された「Mobile World Congress(MWC) Shanghai 2019」において、「当社が世界各国の通信事業者向けに提供した5G基地局の数は、15万台に達した。今後迅速に製造量を拡大していくことにより、2019年末までには50万台の5G基地局を出荷できる見込みだ」と発表していた。今回同社が行った最新の発表は、この時の数字から大きく増加したことになる。
Huaweiの主張については競合他社からの反論も出ているので、ここで一度、5G市場の現状を確認しておきたい。現在、5Gの世界市場は、どれくらいの規模に拡大しているのだろうか。
最初に、Huaweiが提示した数字について検討してみる。Huaweiはこれまで、5G世界市場において限定的な役割を強いられてきたことから、同社が最近発表した20万件という5G対応基地局の出荷数量は、誇張ではないとしても“強気な”数字とは言えそうだ。
一例として、Huaweiは、高い利益を得ることが可能な米国市場から締め出されているという点がある。また同社は、国家安全保障上の懸念を理由に、英国やドイツなど欧州の主要国からも敬遠される傾向にある。もちろん同社は、「Huaweiは、5G対応製品にバックドアを設置し、意図的に脆弱性を持たせることによって、中国当局が電話ネットワークに対する盗聴や攻撃、不安定化を図れるようサポートしている」とする申し立てについては、全面的に否定している。
Huaweiは、こうした疑惑や困難を、どのように回避しようとしているのだろうか。
5G関連の技術を潜在顧客との間で共有?
ここで注意すべき重要な点は、Huaweiが出荷している基地局の大半が、3.5GHz帯で導入されているということだ。この3.5GHz帯では、5G対応向けとして台頭しているMassive MIMO(大規模MIMO)技術が広く利用されている。この周波数レンジは、Massive MIMOのビームフォーミング利得により、3G/4G(LTE)の周波数帯である1.8GHz/2.1GHzの範囲に適合させることが可能だ。ただし、既に3G/4Gで使われているアンテナの他にも、新しいアンテナが必要になるという。
Huaweiは、同社の5G製品を受け入れようとしない一部の国々によって作り出された障壁を乗り越えるために、これまでにない別の新しい方法を生み出す可能性がある。同社の創設者でありCEOを務めるRen Zhenfei氏は、The Economist誌のインタビューの中で、「IP(Intellectual Property)やライセンス、コード技術計画、製造のノウハウなど、当社の5G関連技術のほぼ全てを、潜在顧客との間で共有したいと考えている」と述べている。
レポートによると、Huaweiは、顧客に対してソースコードの修正を許可することにより、同社が5Gインフラ製品を何とかして管理しようとしているのではないかという重要な懸念を払拭したい考えだという。また、自社の技術をあらゆる方向に向けて自由に開発していきたいとしている。
Ren氏はThe Economist誌に対し、「契約による収益は、数十億米ドル規模に達するとみられる。これによりHuaweiは、大きな一歩を踏み出すことができる」と述べている。
しかしHuaweiは、このような大胆なイニシアチブをどのように前進させていくのか、詳細は明らかにしていない。恐らく一部のメーカーは、Huaweiの5G技術関連の膨大なポートフォリオを入手することに興味を持つだろう。また、このような取引によって、米国やオーストラリアなど、5GネットワークでのHuawei製品の使用を禁止している国々が、国家安全保障上の懸念を解消できるかどうかについて、見解を述べるメーカーも出てくるのではないだろうか。
Huaweiは、成都で開催したInnovation Asia Dayにおいて、「アジア太平洋地域の中でも、特に中国と韓国が、5Gネットワークの世界的規模の開発と商業展開をリードしている。韓国は、2019年4月のサービス開始以来、5Gユーザー数が200万件に達したことから、『世界の5G商用ベンチマーク』としての位置付けを確立した」と主張している。
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