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熟練の職人技が支える、パナソニックの補聴器製造現場2019年で60周年を迎えた(1/4 ページ)

 パナソニックの補聴器事業が、2019年に60周年を迎えた。創業者の一声から始まったという事業は、形や機能など同社ならではの技術力を生かして発展を続けており、近年はテレビと直接つながったり、スマートフォンアプリで操作が可能になったりと、時代に合わせた進化を遂げている。一方で、ユーザーそれぞれの耳穴に合わせたオーダーメイド品は、造形で3Dプリンタを使っているものの、その他作業はもっぱら熟練の技術者のノウハウに支えられているという。今回、その製造現場を取材してきた。

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 パナソニックの補聴器事業が、2019年に60周年を迎えた。創業者の一声から始まったという事業は、形や機能など同社ならではの技術力を生かして発展を続けており、近年はテレビと直接つながったり、スマートフォンアプリで操作が可能になったりと、時代に合わせた進化を遂げている。一方で、ユーザーそれぞれの耳穴に合わせたオーダーメイド品は、造形で3Dプリンタを使っているものの、その他作業はもっぱら熟練の技術者のノウハウに支えられているという。今回、その製造現場を取材してきた。

パナソニック補聴器の歴史

 パナソニックの補聴器事業は1958年、創業者の松下幸之助氏が耳の聞こえが悪くなった家族のために開発を命じたのが始まりといい、翌1959年には、第1号機としてポケット型補聴器「CB-801」を発売している。


パナソニックの補聴器第1号機、ポケット型補聴器「CB-801」(クリックで拡大)

 さらに1982年には、骨導メガネ型補聴器「イヤグラス(WH-8050)」、1983年にはペン型補聴器「WH-100」を発売するなど製品を幅広く展開。そして、1985年に初のオーダーメイドカナル型補聴器「WH-7100」を発売し、オーダーメイド製品の提供がスタートしたという。

骨導メガネ型補聴器「イヤグラス(WH-8050)」とペン型補聴器「WH-100」。 ちなみに、イヤグラスについては、『メガネを外すと、視覚も聴覚も同時に弱くなってしまう』という点から、普及しなかったという。(クリックで拡大)

 現在主力として展開しているのは、既製品で耳掛け型の「R4」シリーズや耳穴型の「G4」シリーズ。充電式で別売りのテレビアダプターを使用することで、テレビ音声を遅延なく直接受信できるワイヤレス機能を搭載。テレビの音量を上げずに、家族と一緒にテレビ視聴を楽しめるという。また、高齢者が気軽に装着できるように、デザイン性も高めており、特に「R4」シリーズは、グッドデザイン賞やIAUD国際デザイン賞の金賞を受賞している。

左=耳掛け型の「R4」シリーズ/右=耳穴型の「G4」シリーズ(クリックで拡大)

 音声に関する機能としては、ハウリング音だけを独立して抽出し、抑制するICA(Independent Component Analysis/ハウリング抑制機能)や、食器などのカチャカチャ音だけを小さくするISS(Impulsive Sound Suppression/突発音抑制機能)、音をリアルタイムに分析して風雑音を検出するWNR(Wind Noise Reduction/風雑音抑制機能)のほか、同社独自のダイコティック補聴処理技術により、左右の耳で母音と子音を分担して聞き分けられる「聴き取りサポート機能」などがあり、自然かつクリアな音声が聞こえるという。

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