パナと日本IBMが半導体製造装置分野で協業:後工程装置の価値を高めるソフトを開発
パナソニックと日本IBMが、半導体製造装置分野で協業する。パナソニックが製造、販売するプラズマダイサーなどの半導体後工程製造装置の価値を高めるソフトウェアなどをパナソニックと日本IBMで共同開発し、パナソニックが製造装置ともに提供する。
パナソニックと日本IBMが、半導体製造装置分野で協業する。パナソニックが製造、販売するプラズマダイサーなどの半導体後工程製造装置の価値を高めるソフトウェアなどをパナソニックと日本IBMで共同開発し、パナソニックが製造装置ともに提供する。
協業では、まず、プラズマダイサーに向けたレシピ自動生成ソフトウェアと、プラズマクリーナー用の故障/予兆管理(Fault Detection and Classification/FDC)ソフトウェアを開発に着手。その後、協業の枠組みをパナソニックが手掛ける半導体後工程製造装置全般へと広げ、10年後半導体後工程製造装置事業として売上高250億円規模を目指すという。
両社は2019年10月15日に記者会見を開催。パナソニック専務でコネクテッドソリューションズ社社長を務める樋口泰行氏は、「IBMは、半導体製造プロセスに対する先進の分析技術を有している。プラズマダイサーなどの先端の半導体装置とIBMの分析技術を組み合わせて、新しい価値を日本で創出し世界に発信していきたい」と協業の狙いを語る。
IBMは、半導体製造市場に向けて、高度プロセス制御(Advanced Process Control/APC)や、FDCなどのデータ解析システムや製造実行システム(Manufacturing Execution System/MES)を開発、販売している。そうしたデータ解析システムなどの開発ノウハウを生かして、パナソニック製半導体製造装置の価値を高めるソフトウェアなどの開発を狙う。
協業第1弾として取り組むプラズマダイサーに向けたレシピ自動生成ソフトウェアは、これまで数週間かかっていた、プラズマダイサーの装置パラメーターの最適化を1〜2日程度に短縮するもの。同社製プラズマダイサーは数百種に及ぶ装置パラメーターが必要で長時間を要した。だが、自動化ソフトにより所望のダイシング形状に応じて、最適なパラメーター設定を生成し、短時間で設定が終わるようになるとする。
同じく協業第1弾として取り組むプラズマクリーナー用FDCソフトウェアは、生産中の装置稼働データを解析し、異常値を判別することで装置コンディションを自動判定するもの。メンテナンス時期を最適化し、突然の稼働停止を防止したり、装置停止時間を短縮できたりする。
また両社は、「協業を通じて開発した製造装置の価値を高めるシステムと、日本IBMのMESを連携することで、工場トータルでの総合設備効率(Overall Equipment Effictiveness/OEE)の最大化と高品質モノづくりの実現を目指す」としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- プラズマダイサー用レジスト塗布の手法を提供
パナソニック スマートファクトリーソリューションズ(PSFS)とオーストリアのイーヴィグループ(EVG)は、プラズマダイシング工法の前工程で必要となるレジスト塗布について連携し、2019年3月13日より新たなソリューションの提供を始めた。 - パナソニックが次の100年で目指すのは「工業化社会で失われた価値」の提供
2018年11月1日、パナソニックが創業100周年を記念して開催したユーザーイベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」において、同社専務執行役員の宮部義幸氏が「100年企業のイノベーション」と題して講演を実施。次の100年に向けたパナソニックの取り組みについて説明した。 - 伊のエピ装置企業、SiC市場狙い日本市場に本格参入
イタリアのパワー半導体向けエピ成膜装置の専業メーカー「LPE」が、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体市場の急成長を追い風に日本市場に本格参入をする。同社は2019年10月2日、SiCエピ成膜装置の新製品「PE106A」を世界に先駆け日本で販売開始。東京都内で開催した記者会見で、日本市場に向けた事業戦略などを説明した。同社CEOのFranco Preti氏は、「まずは、全体の売上における日本市場のシェアを現在の5%未満の状態から、5年以内に20%程度にまで上げていきたい」と語った。 - ディスコ、「切る、削る、磨く」工程の効率向上へ
ディスコは、「SEMICON Japan 2018」で、後工程の自動化、作業効率の改善に向けた「並列加工搬送システムver.2」や、スマートフォンで「精密加工装置を監視、制御できるシステム」などを提案した。 - 最先端のドライエッチング技術−マルチ・パターニングとHARC−
今回は、最先端のドライエッチング技術として、マルチ・パターニングとHARC(High Aspect Ratio Contact)について解説する。 - ミニマルファブ方式で、宇宙用集積回路を試作
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と産業技術総合研究所(産総研)は、半導体チップの少量生産に適したシステム「ミニマルファブ」を用いて、宇宙機搭載用の集積回路を試作し、その動作実証に成功した。