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スマホにも搭載可能な小型匂いセンサー2020年2月発売へ(1/2 ページ)

スマートフォンで匂いを測定できるかも――。第一精工は2019年10月15〜18日の会期で開催されている展示会「CEATEC 2019」で、2020年2月に発売を予定する匂いセンサー端末「nose@MEMS」など、匂いセンサーシステムを展示している。

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 スマートフォンで匂いを測定できるかも――。

 第一精工は2019年10月15〜18日の会期で開催されている展示会「CEATEC 2019」で、2020年2月に発売を予定する匂いセンサー端末「nose@MEMS」(ノーズアットメムス)など、匂いセンサーシステムを展示している。


匂いセンサー端末「nose@MEMS」。外形は65×70×10mmで、重さは約42g。5V/100mA(単体使用時)で動作する

 nose@MEMSは、匂いを検知し、匂いを定量的に計測できるセンサー端末。匂いの検知には、匂いの元である匂い分子が付着する特性を持つ感応膜を塗布した圧電素子(チタン酸ジルコン酸鉛[PZT]の圧電薄膜)を利用。付着した匂い分子の量(重さ)によって圧電素子の発振周波数がわずかに変化する現象を利用し、匂い分子の量、すなわち、匂いの強度を計測する。

 nose@MEMSの核になる圧電素子デバイスは、MEMS技術を応用して作成。10mm角程度のMEMSデバイス上に、10個の圧電素子を形成している。そのため、付着する匂い分子が異なる10種類の感応膜を各圧電素子で塗り分ければ、1つのMEMSデバイスで10種類の匂いの強度を計測することができる。「同じ原理で水晶振動子を用いて匂いを計測するセンサーと比較して、大幅に小さいサイズで、さまざまな匂い分子を計測できる点が特長の1つ」(第一精工の開発担当者)という。

 圧電素子に塗布する感応膜は、味の素が開発を担当し、既に特性の異なる180種類の感応膜を開発済みだという。nose@MEMSは、10個の圧電素子を持つMEMSデバイスを2チップ搭載し、1台で20種の感応膜を塗布できる。さらに、nose@MEMSは最大9台を連結、動作できる機能を持ち、開発済みの180種の感応膜を全て使って匂いを計測することも可能だ。


CEATEC 2019で公開している「nose@MEMS」のデモ。nose@MEMSの下にある装置は、別売りのポンプユニットで、写真右のオレンジジュースの入った容器の空気を吸い出し、nose@MEMSのセンサー下から吐き出している。匂いセンサーMEMSデバイスは、nose@MEMSの2つ開いた窓の下にそれぞれ配置されている。ちなみに、感応膜に付着した匂い分子は「すぐに剥がれるので、センサーを交換するなどのメンテナンスは基本的に必要ない」(第一精工)という (クリックで拡大)

 nose@MEMSで検知した匂いの強度から、「どんな匂いか」や「何の匂いと同じか」などの分析は、クラウド上でAI(人工知能)を用いて処理する。こうしたクラウドへのデータ収集、解析については凸版印刷とNECが開発を担当している。


上の写真で紹介したデモの検出結果表示画面。20種の感応膜(圧電素子)別に匂い強度が数値化されている。匂い強度データを温度/湿度情報などとともにAIに学習させ、最終的にAIが“オレンジジュースの匂い”というような結果を導き出すことになる。「人が数値を見ても、何の匂いか判断することはほぼ不可能。AIでの学習が不可欠」(説明員)という (クリックで拡大)

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