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3G〜5Gも1台でOK!超広帯域GaN増幅器狙いはBeyond5G(1/2 ページ)

三菱電機は「CEATEC 2019」(幕張メッセ、2019年10月15〜18日)で、3G〜5G(第5世代移動通信)まで複数の周波数帯に1台で対応できる「超広帯域デジタル制御GaN(窒化ガリウム)増幅器」などを展示した。従来周波数帯ごとに必要だった増幅器を1つにまとめることで、設置スペースやコスト削減につなげる。同社は、5Gの帯域が逼迫した際に3G、4Gに切り替えるなど、5Gの普及後に想定される、新たな運用での利用を狙っている。

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 三菱電機は「CEATEC 2019」(幕張メッセ、2019年10月15〜18日)で、3G〜5G(第5世代移動通信)まで複数の周波数帯に1台で対応できる「超広帯域デジタル制御GaN(窒化ガリウム)増幅器」などを展示した。従来周波数帯ごとに必要だった増幅器を1つにまとめることで、設置スペースやコスト削減につなげる。同社は、5Gの帯域が逼迫した際に3G、4Gに切り替えるなど、5Gの普及後に想定される、新たな運用での利用を狙っている。

Beyond5Gに向け、独自の「回路×AI」で実現

 この超広帯域デジタル制御GaN増幅器は、2つの独自技術によって実現している。まず、広帯域動作を可能にしたのが、独自の負荷変調回路である。並列に配置した2つのGaNトランジスタの出力側に、広帯域での負荷変調動作を可能にする非対称合成回路を適用。これによって1.6G〜4.4GHz帯まで1台で対応が可能になったという。これは、現在モバイルネットワークで主に使われている3G、4Gおよび、2020年に商用サービスが開始する5Gの周波数帯をカバーしている。


展示されていた「超広帯域デジタル制御GaN増幅器」のモデル。「デジタル制御部」(左)とGaN増幅部(右)の2つを組み合わせた形で構成される予定。会場ではGaN増幅部の実物が展示されていた(クリックで拡大)

 この独自回路によって広帯域動作が可能になる一方で、2つのGaNトランジスタに入力する信号間の振幅や位相の組み合わせは、効率の低いものも含め無数に存在することになる。この組み合わせを人手作業で見つけていくのは困難だが、同社は独自AI技術「Maisart(マイサート)※)」を適用したデジタル制御によってこの課題を解決。Maisartによって、入力電力や出力電流、出力電流などの測定結果をリアルタイムにフィードバックして学習を行い最適値を探索、入力信号を自動最適制御することで、現在、上記の周波数範囲で50%以上の電力効率を達成したという。

※)「Mitsubishi Electric's AI creates the State-of-the-ART in technology」の略

 同社の説明担当者は、「基地局で求められる電力効率は40%以上なので実用的には全く問題ない数値。最も高い部分では65%程度の効率も実現している。この全ての周波数を1つで対応可能なものはこれまでになく、コストのメリットは大きい」と説明。「今後はさらに上の周波数帯も対応できる技術を開発していく方針だ」としている。


「超広帯域デジタル制御GaN増幅器」の概要(クリックで拡大)

 現在の基地局で主に用いられているドハティ増幅器は、高効率である一方で使用する周波数帯ごとに増幅器を搭載しなければならないという課題がある。現状の基地局運用では問題とはならないが、同社は、今後5Gが本格的に普及した後、基地局増設が進むにあたり、この課題解決が求められてくると予測。このGaN増幅器によって、設置スペースの削減やコスト減を実現する、としている。説明担当者は、「Beyond5G向けに開発している段階のもので、求められるアプリケーションが出てくるのは2025年ごろだと考えている」と話していた。

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