3G〜5Gも1台でOK!超広帯域GaN増幅器:狙いはBeyond5G(2/2 ページ)
三菱電機は「CEATEC 2019」(幕張メッセ、2019年10月15〜18日)で、3G〜5G(第5世代移動通信)まで複数の周波数帯に1台で対応できる「超広帯域デジタル制御GaN(窒化ガリウム)増幅器」などを展示した。従来周波数帯ごとに必要だった増幅器を1つにまとめることで、設置スペースやコスト削減につなげる。同社は、5Gの帯域が逼迫した際に3G、4Gに切り替えるなど、5Gの普及後に想定される、新たな運用での利用を狙っている。
AIが自動で骨格情報分析、作業効率UP「骨紋」
このほかにも、Maisartを利用したシステムとして、カメラで撮影している人の映像から骨格情報を抽出、その作業内容を特定してミス検知や作業の改善につなげるシステム「骨紋」を展示していた。
従来、人の動作分析を高精度で行うためには、3Dカメラの利用や作業員へのセンサー取り付けなどコストや手間がかかっていたというが、骨紋では作業者の骨格の姿勢や動きを事前に機械学習することで、一般的なカメラ1つで対応を可能。Maisartによって動作から作業手順を判別して記録を行うことで、作業時間の計測や作業ミスを自動で検出するという。
実際に同社の製造ラインで実証実験を行っており、従来、人手作業で30日程度かかっていた不具合発生時の作業分析が、3日で可能になったという。また、精度についても目視と同程度の作業認識率約90%を実現。説明担当者は、「従来の不具合発生時の分析作業は人手作業のため監督者への負荷が高く時間が必要で、また、詳細までの記録が難しかった。骨紋は1日の作業を全て自動で抽出、分析しておりすぐに検出が可能だ」と説明する。
また、「動作経済の原則」に基づいた骨格の動きの分析によって、無駄な動き、無理な動きを自動で検出し、課題抽出を行うことも可能だという。説明担当者は、「経験や熟練度の違いによって、監督者ごとに異なっていた抽出課題や改善検討結果が標準化できる」としている。同社は、骨紋を2020年度以降、順次市場投入する予定だという。
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