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「世界初」高速化&精度劣化監視の新AI技術DXを支える富士通のテクノロジー(1/4 ページ)

富士通研究所は2019年10月25日、川崎市中原区の本社で行われた富士通の研究開発戦略説明会で、AI運用時の精度劣化を監視し、再学習なしに自動修復できる「High Durability Learning」と、AI処理を最大10倍高速化できる「Content-Aware Computing」という2つの新技術を発表した。同社によるといずれも世界初の技術という。

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 富士通研究所は2019年10月25日、川崎市中原区の本社で行われた富士通の研究開発戦略説明会で、AI運用時の精度劣化を監視し、再学習なしに自動修復できる「High Durability Learning」と、AI処理を最大10倍高速化できる「Content-Aware Computing」という2つの新技術を発表した。同社によるといずれも世界初の技術という。

AI運用自動化で高信頼、低コストを実現

 AIを業務で運用し続けていくと、社会情勢や市場動向などにより刻々と変化していく入力データに対してAIモデルが対応できずに精度が低下するという課題があり、「現在、全世界でこの課題に対する議論が行われている」という。富士通による実際のAI運用事例でも、金融の信用リスク評価で当初91%だった精度が1年で69%に低下したほか、小売業の商品画像分類で95%から66%、運送業の伝票文字認識で98%から82%と、いずれもAIの精度が低下していったことが確認されている。

AIモデル陳腐化の実例(クリックで拡大)

 この課題解決には、運用段階で随時精度を確認し、その精度が低下した場合には最新データを用いて再学習を行うことでAIモデルの修復および精度の回復をする必要があるが、現在のAI運用では、まず、AI運用中の精度を測ることができないという。そのため、定期的な正解付けが必要となるが、それには専門家の手による多大な作業、そして膨大なコストが発生するうえ、人手による調査で精度低下が確認できるまでの間は再学習のタイミングを見極めることも困難で「精度が大幅に低下した時も、そのことに気付けない」というリスクがある。


現在のAI運用の課題(クリックで拡大)

 「High Durability Learning」は、こうしたAIの精度の推定や、AIモデルの修復の自動化を「世界で初めて」(同社)実現した技術だ。具体的には、AIモデルを学習する際に用いる学習データや運用時の入力データの分布を「形状」で、その変化を「色」として表現する数理的空間「DT空間(Durable Topology Space)」を用いることで、「複数の形状が近接するほど劣化が進行している」といったように、精度劣化をリアルタイムで自動推定することを実現。これによって自動修復も可能としたという。

High Durability Learningの内容と効果(クリックで拡大)

 実際に金融の信用リスク評価を3800社の財務データを用いて検証したところ、この技術によって、自動監視の精度誤差を3%に抑えるとともに、従来技術で69%まで低下していた精度も、89%に維持できることを確認したという。また、このように精度劣化の自動修復を活用してもいずれは再学習の必要が出るが、その再学習頻度を90%以上抑制できるほか、DT空間の情報を活用することで再学習に必要な正解付けデータの領域をピンポイントで把握することができるため、80%以上のコスト削減も実現。合計で再学習コストを100分の1以下に削減可能だとしている。

左=検証事例/右=コスト削減効果について(クリックで拡大)

 同社は、この技術を2020年度中に富士通の目的指向型プロセスとフレームワーク「Design the Trusted Future by Data×AI」に組み込み、実用化を目指すとしている。

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