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「世界初」高速化&精度劣化監視の新AI技術DXを支える富士通のテクノロジー(3/4 ページ)

富士通研究所は2019年10月25日、川崎市中原区の本社で行われた富士通の研究開発戦略説明会で、AI運用時の精度劣化を監視し、再学習なしに自動修復できる「High Durability Learning」と、AI処理を最大10倍高速化できる「Content-Aware Computing」という2つの新技術を発表した。同社によるといずれも世界初の技術という。

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7つの重点技術領域に集中、富士通の研究開発戦略

 富士通は、「IT企業からDX(デジタルトランスフォーメーション)企業へ」を経営方針に掲げており、DXを支えるテクノロジーとして「コンピューティング」「AI」「データ」「クラウド」「5G/ネットワーク」「IoT」「サイバーセキュリティ」の7つを重点技術領域と定め研究開発を進めている。この日の会場で登壇した、富士通副社長CTO(最高技術責任者)兼富士通研究所会長の古田英範氏は、「富士通は培ってきたIT領域での強みをさらに磨き、新たなDX領域への成長を加速させるとともに、スピード感があるテクノロジーの育成を進める。7つの重点技術領域を中心に利益成長が見込めるビジネスを見極めたうえで、投資を行っていく」と強調していた。


7つの重点技術領域にリソースを集中する(クリックで拡大)

富士通研究所社長の原裕貴氏

 このDXを支える先端技術を生む中核組織と位置付けらているのが、富士通研究所だ。富士通研究所社長の原裕貴氏は、DX実行のための重要な要素として、デジタル時代のトラストを実現する先端テクノロジーを研究開発し、提供する「Make.Trust」、世界トップのデジタルテクノロジーを生み出す「Lead.Digital」、世界屈指の研究所を目指す「Act.Global」の3点を挙げ、それぞれに対する取り組みについて説明した。

 「Make.Trust」に関しては、ブロックチェーンを用いることで、ユーザー自身がID情報の流通をコントロールできるプラットフォーム「IDYX」や、企業間で相互にデータを活用する「丸の内データコンソーシアム」という取り組みにおいて、ブロックチェーンを用いた管理基盤「Virtuoara DX」を提供している事例などを説明。さらに、同社が創立メンバーでもある欧州のAI倫理有識者会議「AI4People」と連携し、欧州委員会のAI倫理ガイドラインをベースに、2019年3月に「富士通グループAIコミットメント」を制定。同9月には「富士通グループAI倫理外部委員会」を設置したことを紹介した。

 「Lead.Digital」については、重点7技術領域にリソースを集中することに改めて触れたうえで、「『京』や『富岳』の開発など、富士通はコンピューティングでは世界トップベンダーであると自負している。量子コンピューティングに関しても、デジタルアニーラは現状最も実用が進んでいる技術だ」とその技術力を強調。さらに、同社が国内AI特許出願件数で2位である点や、「Wide Learning」などの説明可能なAIをいち早く実用化した技術群「XAI(Explainable AI)」を開発した点も挙げ、「富士通はAIについて30年以上研究を続けており、説明可能なAI開発にも早い段階で取り組んできた。AIが実用化されるなかで重要となるAIの品質の問題に関しては、データをどう整理するから始まり、運用時の性能監視や再学習の問題まで、全般にわたって研究開発を推進している」と語った。

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