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ルネサス、SOTB適用のコントローラー「REファミリ」を発表環境発電のIoT機器開発を加速

ルネサス エレクトロニクスは2019年10月31日、「SOTB(Silicon On Thin Buried Oxide)」プロセス技術を採用したエナジーハーベスト(環境発電)用の組み込みコントローラーを、新たに「REファミリ」と命名し、その第1弾となる「RE01グループ」の量産を開始したと発表した。

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 ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2019年10月31日、「SOTB(Silicon On Thin Buried Oxide)」プロセス技術を採用したエナジーハーベスト(環境発電)用の組み込みコントローラーを、新たに「REファミリ」と命名し、その第1弾となる「RE01グループ」の量産を開始したと発表した。

 併せて、評価キット「RE01グループ Evaluation Kit」を発売する。RE01グループを使って、エナジーハーベストで動作するシステムを即座に評価できるようになる。

 SOTBは、ルネサスが約20年にわたり開発してきた技術で、アクティブ時とスタンバイ時の両方の消費電力を最小限まで削減するもの。ウエハー基板上の薄膜シリコン層の下に、埋め込み酸化膜層(BOX:Buried Oxide)を形成したSOI構造と、バルクCMOS構造を組み合わせた構造となっている。


「SOTB」の構造。「electronica 2018」の記者説明会にて撮影(クリックで拡大)

 ルネサスは、このSOTBを適用した組み込みコントローラー「R7F0E」を2018年にドイツ・ミュンヘンで開催された「electronica 2018」で発表し、2019年7月からサンプル出荷を開始していた。

 RE01グループは、Arm「Cortex-M0+」コアを搭載し、最大動作周波数は64MHz、最大1.5Mバイトのフラッシュメモリ、256KバイトのSRAMを搭載している。1.62Vの低電圧駆動が可能だ。エナジーハーベストコントローラー回路、低消費電力の14ビットA-Dコンバーターおよび、グラフィックデータを回転、拡大、反転できる回路も搭載している。

 RE01グループ Evaluation Kitの評価ボードには、RE01、エナジーハーベスト素子用インタフェース、二次電池接続用インタフェース、Arduino互換インタフェース、無線などを拡張評価するためのPmodコネクターが搭載されている。さらに、MIP(Memory In Pixel)液晶拡張基板も同梱されているので、表示機能をすぐに評価できる。

 ソフトウェアは、ArmのCMSIS(Cortex Microcontroller Software Interface. Standard)に対応するドライバソフトウェアを用意している他、バッテリーマネジメントが不要なパワーマネジメントのレファレンスとなるサンプルコードおよびアプリケーションノートも提供する。サンプルコードは、A-Dコンバーター、デジタルフィルター、FFT(高速フーリエ変換)、ウェアラブル機器向け2DグラフィックMIP液晶表示、セキュアブート、セキュアファームウェアアップデート向けにも提供する。

 これにより、RE01グループを使ったエナジーハーベストをシステムレベルで導入可能になり、バッテリーレスのIoT機器などの開発を加速することができるとする。評価キットの価格は1個当たり344米ドル(税別)。

 ルネサスは2020年以降、REファミリについて、256KBのフラッシュメモリを搭載した小型製品など、新しい製品を順次展開していく予定だ。

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