HDD大手Seagateの四半期業績は増収減益に:福田昭のストレージ通信(162)(2/2 ページ)
今回は、米Seagate Technologyの2020年会計年度第1四半期(2019年7〜9月期)の業績を紹介する。同四半期の売上高は25億7800万米ドルで、2四半期連続で増加した。
HDDの総出荷記憶容量
Seagateは、HDDの総出荷記憶容量と1台当たりの記憶容量を応用分野別に公表している。応用分野は、「エンタープライズ分野のミッションクリチカル向けとニアライン向け」「エッジ(クライアント)の非コンピュータ分野における、コンシューマーエレクトロニクス(ビデオレコーダーや監視カメラ、ゲーム機など)向けと、コンシューマー(市販の外付けドライブなど)向け」「エッジ(クライアント)のコンピュータ分野(デスクトップPCとノートPC)向け」である。
詳細をエンタープライズ分野から見ていこう。エンタープライズ分野のほとんどを占めるニアライン向けHDDの総出荷記憶容量は、47.4エクサバイト(EB)である。前四半期の34.8EBから大幅に増加した。残りであるミッションクリチカル向けの総出荷記憶容量は3.2EBである。前四半期の2.9EBから0.3EBほど増えた。エンタープライズ分野のHDD1台当たりの平均記憶容量は6.3テラバイト(TB)である。前四半期の5.5TBに比べて0.8TB増加し、前四半期に続いて過去最大容量を更新した。
続いて、エッジ(クライアント)の非コンピュータ分野である。コンシューマーエレクトロニクス(ビデオレコーダーや監視カメラ、ゲーム機など)向けHDDの総出荷記憶容量は22.0EBとなった。前四半期比べて0.7EB減少した。コンシューマー向け(市販の外付けドライブなど)HDDの総出荷記憶容量は11.1EBである。前の四半期に比べて0.7EB増加した。同分野におけるHDD1台当たりの平均記憶容量は2.5TBで、前の四半期と同じだった。
エッジ(クライアント)のコンピュータ分野(デスクトップPCとノートPC)向けHDDの総出荷記憶容量は14.7EBである。4四半期振りに前の四半期を上回った。前四半期の出荷容量は13.7EB。同分野におけるHDD1台当たりの平均記憶容量は1.2TBである。6四半期連続で同じ容量となった。
HDD全体の総出荷記憶容量は98.3EBである。前四半期に比べて13.8EB増え、過去最高を記録した2019会計年度第1四半期(2018年7月〜9月期)の98.8EBとほぼ同じ水準になった。HDD1台当たりの平均記憶容量は2.9TBである。前の四半期に比べて0.2TB増え、前四半期に続いて過去最大の容量を更新した。
(次回に続く)
⇒「福田昭のストレージ通信」連載バックナンバー一覧
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- HDD大手Western Digitalの売上高が5四半期振りに増加
今回はWestern Digital(WD)の四半期業績を説明する。同社の2020年度第1四半期(2019年7〜9月期)の売上高は、前四半期比11%増の40億4000万米ドルである。5四半期ぶりに前四半期比で売り上げが増加した。 - 次世代ディスプレイの有力候補「マイクロLED」
今回は、次世代フラットパネルディスプレイのキーデバイスを解説する「2.5.2 マイクロLED」を取り上げる。マイクロLEDパネルの強みとは何だろうか。 - マイクロLEDパネルの研究開発動向
マイクロLEDディスプレイパネルの関連特許出願動向や各メーカーの研究開発動向を紹介していく。 - 中国はメモリを自給自足できるのか
中国が世界のメモリ市場の主要プレイヤーを目指していることは公然の事実だ。本記事では、その実現には何が必要で、中国の参入は市場にどのような影響を与えるかを考察する。 - キオクシア北上工場、新製造棟が完成
キオクシアは2019年10月10日、建設中だった北上工場の第1製造棟が完成した、と発表した。 - ようやく回復期に入った半導体市場 ―― 問われる次への戦略
2019年9月末に発表されたWSTS(世界半導体市場統計)によれば、2019年8月の世界半導体市場規模は前年同期比15.7%減の354億米ドル。このうちメモリ市場規模は同39.6%減の93億米ドルであった。この低迷ぶりは2019年7月の実績とほぼ同レベルで、数字の上ではまだまだ厳しい状況が続いているわけだ。しかし、筆者としては「ようやく回復期に入ったのではないか」と今後の見通しを予想している。必ずしも皆さんに賛同していただけるわけではないと思うので、今回はいくつかの着眼点について整理してみたい。