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製造装置市場にジワリと進出する韓国、ローカルでは独占分野も湯之上隆のナノフォーカス(19)(2/3 ページ)

製造装置市場における企業別シェアを分析する。分野によっては韓国企業が着実にシェアを上げている。収束する気配のない日韓貿易戦争が続く中、日本企業は、韓国市場で失うであろうシェアを別の地域で補う必要がある。

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2018年の製造装置の企業別シェア

 約10年が経過して、2018年における製造装置の企業別シェアはどうなっただろうか?(図2)。


図2:製造装置の企業別出荷額シェア(2018年) 出典:グローバルネット(株)『世界半導体製造装置・試験/検査装置市場年鑑(2019)』のデータを基に筆者作成(クリックで拡大)

 露光装置では、ASMLが84%とシェアを独占し、ニコンとキヤノンの合計シェアは14.3%に低下した。しかし、依然として、液体材料を使う製造装置では、日本企業のシェアが高いことが分かる。

 まず、コータ・デベロッパでは、TELとスクリーンの合計で、82.6%のシェアを独占している。ここで、2007年のSOKUDOは、アプライドマテリアルズ(AMAT)とスクリーン(旧DNS)の合弁会社であり、2013年にスクリーンがAMATの全株式を買い取って100%子会社化したことを付記しておく。

 次に、枚葉式洗浄装置では、スクリーンとTELの合計で60%のシェアを独占している。また、バッチ式洗浄装置でも、スクリーンとTELの合計シェアが67.6%となっている。さらに、CMP装置では、荏原製作所と東京精密の合計シェアが35.8%になっている。

 以上から、約10年たっても、液体材料を使う製造装置については、日本企業のシェアが高いことに変わりはない。

 しかし、2007年に比べると、韓国企業が複数の装置分野に進出してきていることが分かる。シェアの高い順から、SEMESとKC Techの合計シェア28.1%のバッチ式洗浄装置、SEMESが25%のシェアを占める枚葉式洗浄装置、やはりSEMESが13%のシェアを占めているコータ・デベロッパ、Wonik、TES、Eugeneの3社合計で12.6%のシェアを占めるCVD装置、KC Techが11%のシェアを占めるCMP装置などである。

 世界市場では、韓国企業がシェア1位の製造装置は、まだ無い。しかし、いずれ、どこかで、韓国企業がトップシェアに躍り出てくる可能性が高い。そのことは、韓国市場における企業別シェアの分析から明らかになる。

2018年の韓国市場における製造装置の企業別シェア

 製造装置の企業別シェアでは、韓国市場は、世界市場と全く異なる景色に見える(図3)。


図3:韓国市場における製造装置の企業別出荷額シェア(2018年) 出典:グローバルネット(株)『世界半導体製造装置・試験/検査装置市場年鑑(2019)』のデータを基に筆者作成(クリックで拡大)

 まず、枚葉式洗浄装置では、SEMESが53.7%でシェア1位である。日本のシェアは、スクリーンとTELの合計で37.5%しかない。バッチ式洗浄装置でも、KC Tech(50.2%)とSEMES(8.4%)の合計シェアが58.6%となっており、スクリーンとTELの合計シェア39.9%を上回っている。

 次に、CMP装置でも、KC Tech(35.7%)がAMAT(37%)に次いで、わずかな差で2位になっている。コータ・デベロッパでも、SEMES(33.6%)がTEL(62.5%)に次ぐ2位である。

 さらに、CVD装置では、Wonik(20.1%)、TES(11%)、Eugene(3.9%)の3社合計で、韓国のシェアが39%となり、AMAT(29.5%)やLam Research(27.6%)を超えている。

 世界市場では、コータ・デベロッパ、2種類の洗浄装置、CMP装置など、液体材料を使う3種類の製造装置で日本のシェアは高いが、韓国市場においては、その優位性が無くなっている。辛うじて、韓国市場でもトップシェアを確保しているのは、コータ・デベロッパにおけるTELだけであり、2種類の洗浄装置もCMP装置も、韓国企業のシェアが日本企業を上回っている。

 そして、今後、日本企業が韓国市場でシェアを増大することは期待できず、世界市場においても、韓国企業が台頭してくる可能性がある。その根拠を以下に示す。

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