スマホでリアルタイムに骨格検出、省電力のエッジAI:イマジネーションがデモを披露
Imagination Technologiesの日本法人イマジネーションテクノロジーズは「ET&IoT Technology 2019(ET展)」(2019年11月20〜22日、パシフィコ横浜)で、同社のニューラルネットワークアクセラレーター(NNA)を実装したSoC(System on Chip)搭載のスマートフォンで推論するデモを行った。
Imagination Technologiesの日本法人イマジネーションテクノロジーズは「ET&IoT Technology 2019(ET展)」(2019年11月20〜22日、パシフィコ横浜)で、低消費電力で機械学習の推論を行うニューラルネットワークアクセラレーター(NNA)のデモを行った。
まずは、スマートフォンで骨格の認識と視点の検出を行うデモだ。中国Unisoc(紫光展鋭)のSoC(System on Chip)「Tiger T710」を搭載したスマートフォンを人物にかざすと、骨格と視点の検出がリアルタイムで行える。同SoCには、PowerVRコアのGPU「GM9446」と、ニューラルネットワークアクセラレーター(NNA)「PowerVR Series2NX」が実装されている。骨格検知アルゴリズムは「OpenPose」を使っているという。
上記のデモでは、9fps(フレーム/秒)で推論していることが分かる(9 inferences per secondという表示が見える)。Tiger T710の動作周波数は800MHz。イマジネーションテクノロジーズによると、800MHz時における推論のスピードは理論値では100fpsを超えるという。ただ、実際の端末に実装すると、全てのバンド幅を推論に割り当てられるわけではないので、推論スピードが10分の1くらいまで落ちてしまうと説明した。
Imagination Technologiesは、次世代NNAとして「PowerVR Series3NX」も既に開発している。PowerVR Series2NXとの最も大きな違いは、学習モデルのサイズとバンド幅を低減できる、ロスレス圧縮技術を導入している点だ。
ET展では、プロトタイプとして、PowerVR Series3NXを実装したFPGAで、顔を認識するデモを行っていた。物体を検出するSSD(Single Shot Detector)と、台湾CyberLinkの顔認識エンジン「FaceMe」を使っていて、まずは「顔」を検出し、それを、あらかじめ顔を登録している人物とひもづけて認証を行うという、2段階のシステムになっている。こちらも低い消費電力で推論できるのが特長だ。
車載向けのコンセプトデモとして、360度全方位の映像から人物を検出するデモも披露した。PowerVR GPUを搭載したルネサス エレクトロニクスのSoC「R-Car H3」と、PowerVR Series2NXを実装したFPGAを使ったデモとなっている。
クルマの模型に取り付けた4個のカメラで撮影した映像を、R-Car H3のGPUで高速にレンダリングし、360度の全周囲画像を生成する。その画像からPowerVR Series2NXの推論によって人物を検出していた。コンセプトデモなので、FPGAとR-Car H3の2チップを使っていたが、もちろん1チップ化することも可能だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 新CEOの下で巻き返しを図るImagination
2018年12月13日にCEO(最高経営責任者)に就任したImagination Technologies(以下、Imagination)のRon Black氏は、グラフィックスIP(Intellectual Property)ベンダーとしてなすべきことを鋭敏に察知している。 - Imagination、低消費電力の位置情報向けIPコアを発表
Imagination Technologies(以下、Imagination)は、2018年10月31日から11月1日まで米国カリフォルニア州のシリコンバレーで開催された「Linley Fall Conference」で、2種類の新型IP(Intellectual Property)コアを発表した。 - 10mWでジェスチャー検出、超小型FPGAを使うエッジAI
Lattice Semiconductor(以下、Lattice)は「CEATEC 2019」(2019年10月15〜18日、幕張メッセ)で、エッジ端末において低消費電力で推論する技術のデモを展示した。 - 超小型FPGAをエッジに、独自路線を進むLattice
小型で低消費電力のFPGAを手掛けるLattice Semiconductorは、クラウド市場に注力する他のFPGAベンダーとは明確に路線を分け、エッジ向けに力を入れる。 - 車載カメラバス、UTPケーブルでHD映像を伝送
アナログ・デバイセズ(ADI)は、「オートモーティブ ワールド 2019」で、「想像を超える可能性」をテーマに「DIGITAL COCKPIT」「ELECTRIFICATION(電動化)」「ADAS」など5つのカテゴリーに分けて、最新の半導体ソリューションを紹介した。