2020年の半導体市場、前年比5.9%増で回復基調に:WSTSが秋季予測を発表
WSTS(World Semiconductor Trade Statistics:世界半導体市場統計)は2019年12月3日、2019年秋季の半導体市場予測を発表した。それによると、2020年の半導体市場は前年比5.9%増と回復基調になるという。
2019年は、01年以来の二桁のマイナス成長に
WSTS(World Semiconductor Trade Statistics:世界半導体市場統計)は2019年12月3日、2019年秋季の半導体市場予測を発表した。それによると、2019年の半導体市場は前年比12.8%減の4089億8800万米ドルになるという。同年6月に発表した春季予測は、当初の予測を下方修正して前年比12.1%減の4120億8600万米ドルとしていたが、今回はそれをさらに下方修正する結果となった。
WSTSによれば、2018年後半から年末にかけて、半導体市場は米中貿易摩擦などの世界経済の先行き不透明感から急速に悪化したが、2019年もこの流れを引き継いで、前年割れで推移しているという。WSTSは「市場への影響力が大きいスマートフォンなどの低迷に加え、世界経済の先行き不透明感が根強く回復が期待できないことから、12.8%減と二桁のマイナス成長を予測した」と述べている。二桁のマイナスは、ITバブル崩壊直後の2001年以来になるという。
2020年は回復基調
一方で2020年に関しては、5Gの本格的な普及やデータセンターへの投資の回復、次世代ゲーム機の登場といった要素から、2019年比で5.9%増の4330億2700万米ドルと回復基調になると予測している。製品別でも、ディスクリート、オプトエレクトロニクス、センサー、ICのいずれにおいてもプラス成長を予測している。ICの製品別でもメモリを含め全てのカテゴリーでプラス成長になるとした。日本市場についても、2019年比で1.7%増となる3兆9162億円規模になると見ている。
2019年の製品別市場予測
2019年の製品別市場予測は、ディスクリートは前年比0.6%減の239億6000万米ドル、オプトエレクトロニクスは同7.9%増の410億5600万米ドル、センサーは同2.0%増の136億2300万米ドル、ICは同16%減の3303億5000万米ドルとなっている。
ICの製品別では、アナログが前年比7.9%減の541億5100万米ドル、マイクロが同2.3%減の656億7400万米ドル、ロジックが同4.3%減の1046億1700万米ドル、メモリが同33%減の1059億700万米ドルと、いずれのカテゴリーもマイナスで、特にメモリでは大幅な減少を予測している。
なお、WSTS日本協議会は日本の半導体市場動向についても発表。2019年は、2018年比で12.7%減の3兆8521億円になると予測している。
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