ミネベアミツミ、エイブリックを344億円で買収:半導体事業売上高1000億円が目標
ミネベアミツミは2019年12月17日、エイブリックの株式70%を保有する日本政策投資銀行と同30%を保有するセイコーインスツルから、エイブリックの全株式を取得すると発表した。買収額は343億9300万円。
2020年7月の株式取得を予定
ミネベアミツミは2019年12月17日、エイブリックの株式70%を保有する日本政策投資銀行と同30%を保有するセイコーインスツルから、エイブリックの全株式を取得すると発表した。ミネベアミツミは同日付で、日本政策投資銀行および、セイコーインスツル(以下、SII)と株式譲渡契約を締結。株式取得金額は343億9300万円。各競争規制当局から許可を取得した後、2020年7月ごろの株式取得を予定する。
エイブリックは、SIIの半導体事業部門が前身で、2016年にSII完全子会社のエスアイアイ・セミコンダクタとして分社独立。2018年1月に、日本政策投資銀行が株式の70%を取得して筆頭株主になるとともに、社名をエイブリックに変更。レギュレーターICや電池保護ICなどアナログICを中心に展開。2019年3月期業績は連結売上高328億5200万円、連結営業利益41億7400万円だった。
両社の半導体事業売上高合計値は約560億円
ミネベアミツミは、2017年に、ベアリング/モーターが主力のミネベアと、スイッチなどの電子部品を中心にアナログ半導体を手掛けたミツミ電機が経営統合し発足。エイブリックを買収することで「2.6兆円規模のアナログ半導体市場におけるプレゼンス強化」(ミネベアミツミ)を狙う。エイブリックの買収により、ミネベアミツミの半導体事業規模は約560億円に達する見込み。ミネベアミツミでは、両社の半導体技術を融合させるとともに、ミネベアミツミの基盤技術を活用することで、「当面の目標」(ミネベアミツミ)として、半導体事業で売上高1000億円、営業利益率10%を目指すとしている。
ミネベアミツミは「エイブリックと当社は、足りない分野を相互に補完しあえる製品ポートフォリオを有し、本株式取得により多様な相乗効果の発揮が可能になる。研究開発の面では、両社の高い技術の融合により更なる高性能/高品質製品の開発、製造が可能になるとともに、ものづくりの面では、両社の前工程/後工程工場での相互生産と生産技術、ノウハウの横展開により品質、生産性の向上とBCP(事業継続計画)対応力の強化が図れる。さらには、当社グループとエイブリックの販路の相互活用、エイブリックによる当社他事業部が所有する知見の新製品開発への応用など、半導体分野に限定されない相乗効果の創出も期待できる」としている。
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