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LoRaWANとWi-Fiは好相性、組み合わせて幅広い用途に高精度の測位も可能(2/2 ページ)

IoT(モノのインターネット)の導入を進める際、無線接続ソリューションの選択肢が多過ぎて、その検討にかなりの時間を費やしてしまうのではないだろうか。しかし、Wi-FiとLoRaWANは、エッジからクラウドへのエンド・ツー・エンドのソリューションとしての相乗効果を生み出すことから、非常に魅力的な選択肢だといえる。

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802.11mc対応ならば、高精度な測位も可能に

 また、この2つの技術を統合することは非常に簡単である。複数のデバイスメーカーが、Wi-FiとLoRaWANの両方をサポートするトランシーバーとゲートウェイを製造しており、LoRaWANゲートウェイにプラグインできるWi-Fiアクセスポイントアダプターを販売している。

 最新のLoRaWAN/Wi-Fiゲートウェイは前世代より小型化され、一般的にサイズはスマートフォン2台を積み重ねた程度で、価格は民生向けの標準的なWi-Fiアクセスポイントより安価な物も出てきている。その多くは、BluetoothとGPS、LoRaWANの全機能、複数レベルのセキュリティをサポートしている。デュアルプロトコルゲートウェイは、ゲートウェイのソフトウェアまたはスマートフォンアプリで簡単に設定できる。

 LoRaWANセンサーが生成したデータをWi-Fiに転送する処理はほとんど一瞬で完了するが、特定の条件で実行されるように調整することも可能だ。例えば、LoRaWANを使用するカメラが動きを検知してビデオ録画が開始されると、クラウドへの送信に必要な帯域幅と速度を有するWi-Fiに送信処理を引き渡すように設定することもできる。

 また、位置情報の取得とトラッキングを行うには、LoRaWANセンサーがWi-Fiアクセスポイントを“検知”し、条件を満たすアクセスポイントの数をLoRaWANクラウドに送信してから、三角測量と正確なタイムスタンプによって位置情報を取得する。IoTデバイスが1台の場合でも、利用可能なWi-Fiアクセスポイントの数に応じて、屋内で約10mの精度でWi-Fiベースの位置情報を取得できる。垂直方向の位置情報(高度)は、5つの強力なWi-Fi信号で約5m(都市部の屋外の場合は約20m)の精度で取得できる。

 さらに、「IEEE 802.11mc(IEEE 802.11REVmc、以下802.11mc)」規格で利用可能な高精細タイミング測定(往復時間もしくはRTT[Round Trip Time]とも呼ばれる)を使うと、精度を高めることができる。802.11mcは正確な位置情報技術の一つであるが、最近までメディアにあまり注目されていなかったため、進展があまり知られていない。802.11acは、モバイルOS「Android 9.0」でサポートしている規格で、今後数年間でさらに展開されると予想されている。802.11mcによって、測位精度は約1mまで向上し、Z軸(垂直)方向の位置情報を提供可能だ。従来はZ軸まで対応することは難しかった。

 Wi-Fi RTTでは3軸(X、Y、Z軸)全てにおいて測位精度が約1mに向上する。RTT対応のWi-FiアクセスポイントとLoRaWANを併用すれば、正確な位置精度が遠隔地にまで拡張できることになる。

 セルラーネットワークはLoRaWANのほとんどの機能を実現できるが、はるかに多くのインフラが必要となり、導入のコストが高くなる。Wi-FiとLoRaWANを組み合わせることで、他のさまざまな無線技術よりも、はるかに優れたユニークなソリューションを提供するだろう。

【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】

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