ADAS向けのエッジプロセッサ、ECUの負担を最大70%減:オートモーティブワールド2020
車載用半導体を開発する韓国のNextchipは「オートモーティブ ワールド2020」(2020年1月15〜17日、東京ビッグサイト)で、ADAS(先進運転支援システム)向けのエッジプロセッサ「APACHE4」のデモを展示した。
車載用半導体を開発する韓国のNextchipは「オートモーティブ ワールド2020」(2020年1月15〜17日、東京ビッグサイト)で、ADAS(先進運転支援システム)向けのエッジプロセッサ「APACHE4」のデモを展示した。
APACHE4は、コンピュータビジョン技術をベースに自動車や歩行者などを検知するためのプロセッサで、Armの「Cortex-R5F」コアの他、CEVAのDSPコア、Nextchip独自のISP(Image Signal Processor)などを搭載している。歩行者検知、自動車検知、レーン検知、移動体検知の4つのアルゴリズムを同時に動作させることが可能だ。30フレーム/秒(fps)の映像と最大5Mピクセルのカメラに対応している。
Nextchipの担当者は「当社はISPの技術で23年間の実績を持っており、カメラなどセンサーからの信号の処理に強みを持っている。APACHE4は、ADASや自動運転のコンピュータビジョン処理におけるECU(電子制御ユニット)の負荷を低減することが狙いだ」と述べる。Nextchipによれば、APACHE4によって、コンピュータビジョンの処理におけるECUの負荷を最大70%低減できるという。また、APACHE4は車載用部品の品質規格であるAEC-Q100に準拠している。
APACHE4は2020年2月にエンジニアリングサンプルの出荷を開始し、2020年内には量産を開始する予定だ。評価基板/デモボードも用意する。
Nextchipは、APACHE4にディープラーニングも行える機能を追加した「APACHE5」も開発中だ。CNN(畳み込みニューラルネットワーク)のアルゴリズムを実装できる。ただし、その分、APACHE4よりも処理は重くなるとNextchipの担当者は述べる。
APACHE5は2020年第3四半期にエンジニアリングサンプルの出荷を開始する予定だ。だが、「すぐにでもCNNを実装してみたい」というユーザー向けに、APACHE4ではDSPにCNNのアルゴリズムを実装できるようになっている。「APACHE4によるコンピュータビジョンベースの検出でも十分な性能を発揮できると自負しているが、CNNも使ってみたいのであれば、まずはこの方法でAPACHE4を実証に用いてみてほしい」(Nextchip)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- HDBaseTを使う車載通信用チップ、Valensが展示
イスラエルの半導体メーカーValens Semiconductor(以下、Valens)は「オートモーティブ ワールド2020」(2020年1月15〜17日、東京ビッグサイト)で、車載通信向けに、HDBaseTをサポートするチップセット(送信用チップと受信用チップ)「VA608A」を展示した。 - 加速するAIチップ市場、2019年の重要な動き
2019年のAI(人工知能)アクセラレーターのハードウェアセグメントは、非常に活気があった。AIアクセラレーターのハードウェア分野における、2019年の重要な出来事トップ5を紹介する。 - IntelがHabana Labsを買収、Nervana製品の立ち位置は?
Intelは2019年12月16日(米国時間)、AIアクセラレーター関連の新興企業であるイスラエルのHabana Labs(以下、Habana)を約20億米ドルで買収したと発表した。これは、驚くべき動きである。Habanaは、Nervanaの競合だからだ。 - 米Gyrfalconの超省電力AIチップ、12.6TOPS/Wを実現
米Gyrfalcon Technology(以下、Gyrfalcon)は、民生機器向けの新しいAI(人工知能)アクセラレーター「Lightspeeur 5801」を発表した。同社にとって第4世代のAIアクセラレーターとなり、既にLG Electronicsのミッドレンジスマートフォン「Q70」に搭載され、“ボケ”などのカメラエフェクトの推論処理に使われている。 - 2019年は転換の年、2020年は“半導体不足”の時代に突入
半導体業界にとって2019年は、市場全般の低迷に加え、米中貿易問題、日韓貿易問題といった政治的な要素にも大きく影響を受けた年となった。IHSマークイットジャパンのアナリスト5人が、2020年の展望を交えつつ、2019年の半導体業界を振り返る。