HDBaseTを使う車載通信用チップ、Valensが展示:オートモーティブ ワールド2020
イスラエルの半導体メーカーValens Semiconductor(以下、Valens)は「オートモーティブ ワールド2020」(2020年1月15〜17日、東京ビッグサイト)で、車載通信向けに、HDBaseTをサポートするチップセット(送信用チップと受信用チップ)「VA608A」を展示した。
イスラエルの半導体メーカーValens Semiconductor(以下、Valens)は「オートモーティブ ワールド2020」(2020年1月15〜17日、東京ビッグサイト)で、車載通信向けに、HDBaseTをサポートするチップセット(送信用チップと受信用チップ)「VA608A」を展示した。
自動運転/ADAS(先進運転支援システム)では、カメラやセンサーなどで取得した大量のデータを、より高速に、より堅ろうに送信する技術がますます求められるようになっている。そうした中で、映像系の伝送で既に十分に実績のあるHDBaseTを自動車に応用する動きが広がっている。
Valensの日本法人バレンズジャパンでジェネラルマネジャーを務める井口信太郎氏は、HDBaseTを使えば、UTP(非シールド型より対線)ケーブルで、フルHDの映像をマルチギガビット/秒の速度で15m以上伝送することが可能になると説明する。「従来の車載ネットワークのケーブルに比べて格段に軽く、細くなるので取り回しも容易になる。HDBaseTはクルマに導入しやすい技術だ」(同氏)
「オートモーティブ ワールド2020」で展示したチップ「VA608A」の評価基板(チップはヒートシンクの下に搭載されている)。HDBaseT信号の送信側と受信側、2枚の基板をUTPケーブルで接続している。このケーブルで車載通信ができる(クリックで拡大)
ValensのHDBaseT伝送技術は、MIPI Allianceが車載通信の物理層規格として策定している「MIPI A-PHY」に採用されている。MIPI A-PHYにはプロフィール1とプロフィール2の2種類がある。プロフィール1は低速対応で、プロフィール2は2Gビット/秒(bps)〜48Gbpsまでに対応するものとなっている。
井口氏は「HDBaseTは映像伝送の分野で実績のある技術であり、MIPI A-PHYの標準技術にもなっている。安心して導入を検討してほしい」と述べた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 車載通信、高まるマルチギガビットへの要求
レベル4およびレベル5の自動運転車開発メーカーは現在、マルチギガビット/秒クラスの通信速度を持つ車載コネクティビティの実現を要求している。これを受け、あらゆる業界団体や標準化団体は、そうした要件に沿った技術を開発する体制を整えているという。 - イスラエル企業11社、自動運転向け技術を披露
「第1回 自動運転EXPO」(2018年1月17〜19日、東京ビッグサイト)に設立されたイスラエルパビリオンでは、自動運転関連の技術を手掛けるイスラエル企業11社が出展し、製品のデモを行った。その中から3社を紹介する。 - 自動運転車の“誇大広告”は、やめよう
今こそ、自動運転車について率直な議論を行うべき時ではないだろうか。最近の予測では、どのメーカーも2025年まで、自動運転車への投資に対する見返りを得られそうにないとされている。また、完全な自動運転車の実現は、早くても2030年以降になる見込みだという。 - 自動運転車市場、2030年に約8250万台規模へ
ADAS(先進運転支援システム)/自動運転システムの世界市場は、2030年に約8250万台規模となる見通しだ。矢野経済研究所が市場予測を発表した。