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スタートアップ育成に注力するフランス国をあげて取り組みを継続(1/2 ページ)

フランスは、“起業家による起業家のための活動”を支援するイニシアチブ「La French Tech(フランステック)」を推進し、新興企業の再生に取り組んでいる。

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スタートアップの育成に注力するフランス

 フランスは、“起業家による起業家のための活動”を支援するイニシアチブ「La French Tech(フランステック)」を推進し、新興企業の育成に取り組んでいる。

 このLa French Techとは一体どのような施策なのだろうか。

 La French Techは、フランス政府が2013年に始動したイニシアチブで、新興企業の成長と活動に貢献することが可能なあらゆる人材として、投資家やエンジニア、開発者、学生、団体、政策立案者、コミュニティー起業家などを結集することを目指す。その主な使命は、フランスの新興企業の海外進出を推進し、外国の起業家や優れた人材をフランスに呼び寄せることにある。

 La French Techのエコシステムは、ここ数年の間に大きな成長を遂げてきた。英国のコンサルティング会社であるErnst and Youngによると、フランスの新興企業が獲得した資金は、2015年の約20億米ドルから、2018年には40億米ドルと2倍に増加し、さらに2019年には55億米ドルをわずかに上回るまでになったという。フランスのエコシステムは現在、欧州の中では英国に次ぐ2番目の規模を実現している。

 現在、フランスの新興企業育成は、その国境を越えて影響を及ぼしている。フランスの新しい世代の起業家たちは今や、米国ネバダ州ラスベガスで開催される「CES」から、スペイン バルセロナの「Mobile World Congress(MWC)」、米国テキサス州オースティンの大規模イベント「SXSW(South by Southwest)」などに至るまで、さまざまな国際展示会を主導するまでになった。

 しかし、フランスのユニコーン企業(企業価値が10億米ドルを超える民間新興企業)の数はわずか7社で、欧州の中で最も近いライバル国に後れを取っている状況にある。英国のDigital Economy Councilが最近発表したデータによると、例えば英国は、過去20年間で72社のユニコーン企業を生み出したという。しかも、このうち13社は、過去1年の間に設立されている。また、ドイツのユニコーン企業数は29社だ。一方、世界トップの米国は703社、第2位の中国は206社である。

 フランスのエマニュエル・マクロン大統領は2019年9月に、フランスの技術新興企業の設立を推進すべく、今後3年間で55億米ドルを投じる予定だと発表した。その資金は、資産管理会社や銀行、保険会社など、フランス国内の主要な機関投資家たちが提供するという。この投資計画は最近、68億米ドルまで増額され、世界的な技術チャンピオン企業の発展と成長をサポートしながら、2025年までにユニコーン企業を25社設立することを目指していくという。

 またフランス政府は、La French Techの中で120種類のプログラムを用意し、フランスの新興企業向けに具体的なサポートを提供している。

 フランス政府は2020年1月20日に、La French Techの120プログラムに基づき、最も有望視されている新興企業の社名を発表した。これらの企業は、その成長を加速すべく、各省庁や公共サービスなどからのサポートを優先的に受けることができるという。

 La French Techは120プログラムとされているが、実際には120社ではなく123社の新興企業が選ばれている。これらの新興企業が選出された背景には、「全企業のうち、半数の企業のために資金を集め、その売上高や成果を、残りの半数の企業のために使う」という経済的基準がある。

 123社の新興企業は、ディープテックからローテク、AI(人工知能)、人的資源オンラインサービスに至るまで、あらゆる種類の技術課題に取り組んでいる。ここで、ディープテック分野における注目すべきスタートアップを数社、紹介したい。

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