RAWとYUVを1台で同時出力するイメージセンサーSoC:オン・セミコンダクター
On Semiconductorは、「オートモーティブワールド2020」(2020年1月15〜17日/東京ビッグサイト)に出展。RAWデータとYUVデータを同時に出力することでセンシングとビューイングの2用途に1台で対応するイメージセンサーSoC(System on Chip)「AS0149AT」などを公開した。
On Semiconductor(オン・セミコンダクター/以下、オンセミ)は、「オートモーティブワールド2020」(2020年1月15〜17日/東京ビッグサイト)に出展。RAWデータとYUVデータを同時に出力することでセンシングとビューイングの2用途に1台で対応するイメージセンサーSoC(System on Chip)「AS0149AT」などを公開した。
AS0149ATはオンセミ独自のISP(Image Signal Processor)を搭載した1.3MピクセルのCMOSイメージセンサーSoC。「1Mピクセルクラスのリアビューカメラ、サラウンドシステムをいかにコスト効率よく作るかに特化した」(説明担当者)といい、LFM(LED Flicker Mitigation:LEDフリッカー抑制)やHDR(High Dynamic Range)などの機能を1チップに集積している。画素寸法は3.0×3.0μm、フレームレ―トは1280×960ピクセル時で30フレーム/秒だ。
このAS0149ATの大きな特長として今回紹介していたのが、YFEデータとRAWデータを同時に出力する機能だ。リアビューカメラなどで用いられる従来のイメージセンサーは撮影データがYFEデータとして出力されるため、「加工後のデータのためセンシングに向かない場合がある」(説明担当者)。AS0149ATではMIPI CSI-2インタフェースを用い、仮想チャンネルによって、YFEデータとRAWデータを同時に出力。YUVデータはADASのECUへ、RAWデータは車内インフォテインメント向けにといった形で利用することを可能にしたとしている。
1つで可視光も赤外線も対応のイメージセンサー
このほか、乗員検知などの光学モニタリングカメラシステム向けとして紹介していたのが、イメージセンサー「AR0239 RGB-IR」と独自のアルゴリズムを用い、1個のセンサーで昼と夜のイメージングを実現したソリューションだ。
AR0239 RGB-IRでは、オンセミ独自のフィルター配列技術によって、RGBフィルターに加え、近赤外線のある帯域だけを通す「IRパスフィルター」を構成。RGBデータとIRデータを同時に取得することを実現している。ここに独自のアルゴリズムを用いることで、RGBとIRのピクセルの出力値が同程度であれば、十分な可視光がないものと判断してモノクロのIRモードに、RGBのピクセルの出力値の方が高ければ通常の可視光と判断してカラーのRGBモードに、といった形で自動的に切り替えが可能になっており、1つのイメージセンサーで日中や夜間、トンネル内などさまざまな光の条件下でのセンシングを可能にしている。
最新のIGBTモジュールも公開
オン・セミコンダクターの第4世代IGBTを用い、電気自動車(EV)などのトラクションインバーター向けとして新たに開発した大電流モジュールも紹介されていた。
シングルサイドダイレクトクーリング(SSDC)と、デュアルサイドクーリング(DSC)の2タイプがあり、SSDCは、耐圧750V、最大コレクタ電流は820A。業界で広く採用されている「6パック構成」のパワーモジュールであり、「短期間の設計に適している」としている。DSCは、IGBTを2個集積したハーフブリッジ構成のパワーモジュールで、耐圧750V、最大コレクタ電流は800A。パッケージの両面に放熱板を搭載した構造で、ヒートシンクで「サンドイッチ」してモジュールを3個並べる形で使用する。さらに積層するなど、拡張性が高い点が特長だとしている。
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