連載
次世代コンデンサの主役を狙うシリコンキャパシタ:福田昭のデバイス通信(227) 2019年度版実装技術ロードマップ(37)(2/2 ページ)
今回は、次世代のコンデンサである「シリコンキャパシタ(シリコンコンデンサ)」を解説する。
小型、高耐熱などで温度補償タイプのセラミックよりも有利
シリコンキャパシタ(シリコンコンデンサ)の特長はまず、単位面積当たりの静電容量が高いことである。積層セラミックコンデンサ(MLCC)が平方mm当たりで約0.5μFであるのに対し、シリコンキャパシタは現在、3倍の1.5μFを実現している。
次に、温度変化に対する静電容量の変化がきわめて小さいこと。MLCCの中でも特に温度変化による容量変化が少ない、C0G特性(−55℃から+125℃での温度係数が0ppm/℃)に近い温度特性を備える。さらに耐熱性がきわめて高い。MLCCの限界(150℃)を超える+250℃という高い温度でも、室温とほぼ同じ静電容量を維持する。
シリコンキャパシタの弱点は製造コストが高いことと、大容量品が作りづらいことである。小容量品でも価格はMLCCに比べて高いので、大容量品を作ろうとするとシリコンの面積が増加してコストが急激に増加する。このため、大容量品を製造してもコストが高すぎて市場では受け入れられないとみられる。現在、シリコンキャパシタは単位面積当たりの容量拡大が進んでいる。2025年ごろには、現在(2019年)の4倍に当たる6μF/平方mmに増加すると予測される。
(次回に続く)
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