STマイクロ、STM32H7シリーズに3製品を追加:IoT機器などに適した32bマイコン
STマイクロエレクトロニクスは2020年2月、32ビットマイコン「STM32H7」シリーズとして新たに、演算性能や電力効率などを高めた3製品を追加した。
演算性能や電力効率を強化
STマイクロエレクトロニクスは2020年2月、32ビットマイコン「STM32H7」シリーズとして新たに、演算性能や電力効率などを高めた3製品を追加した。
新たに投入するのは、シングルコアラインの「STM32H7A3」と「STM32H7B3」および、バリューラインの「STM32H7B0」。プロセッサコアとして動作周波数が最大280MHzの「Arm Cortex-M7」を搭載している。内蔵したRAMの容量は最大1.4Mバイトである。パッケージはコストが安い64端子QFPの他、外形寸法が4.57×4.37mmのWLCSPなども用意した。
内蔵のスイッチング電源(SMPS)は、「RUNモード」や「STOPモード」といった、プロセッサコアに供給する電圧を変えることができる電圧スケーリング機能を備えており、高い電力効率を実現できる。STOPモード時の消費電流は32μAで、RAMデータを保持する。スタンバイ電流は4μAと極めて小さい。また、必要に応じて外付け部品にも電源を供給することができ、部品点数の削減につながるという。
高いセキュリティ機能もサポートしている。「セキュアブート」や「Root of Trust」「暗号化アクセラレーター」「公開鍵アクセラレーター」などサイバー攻撃に対する保護機能を備えている。新しいOn-The-Fly復号機能(OTFDEC)によって、暗号化されたコンテンツをリアルタイムで復号できることから、外部のシリアルメモリに保存されるコードも保護されるという。さらに、セキュア・ロード・サービスが組み込まれており、フィールドにおけるファームウェアのアップデートも安全に行うことができる。
STM32H7マイコンはこの他、さまざまなデジタル通信用インタフェースと最大2個のOctal SPI外付けメモリインタフェースをはじめ、XGAディスプレイにまで対応するRGBインタフェース、2Dグラフィック処理をCPUからオフロードする独自の「Chrom-ART Accelerator」、非長方形ディスプレイのサポートを最適化する「Chrom-GRC」、ハードウェアJPEGコーデックなどの機能を内蔵している。
STM32H7A3およびSTM32H7B3は既にサンプル品を出荷中で、2020年1月より順次量産を始めている。大量購入時のサンプル単価は、「STM32H7A3RIT6」の場合、約3.78米ドルである。
STマイクロは、専用評価ボードの「STM32H7B3I-EVAL」や「STM32H7B3I-DKディスカバリーキット」、Nucleo-144ボードの「NUCLEO-H7A3ZI-Q」「STM32CubeH7ソフトウェアパッケージ」などの開発エコシステムも用意している。
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