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中国が中国をパクる時代に、“別物Mate30 Pro”を分解この10年で起こったこと、次の10年で起こること(42)(2/3 ページ)

今回は、定価の半値以下で購入したハイエンドスマートフォン「Mate30 Pro」の分解の様子を報告する。ただ、このMate30 Proは、正規品とはまったく違う“別物”だったのだが――。

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Mate30 Proと“別物”を分解比較

 図3は2020年2月に入手したMate30 Proの分解の様子である。スマートフォン裏面のカバーを取り外した様子が左側。そこからカメラ部の4眼のカバーを取り外した。4眼カメラのはずのMate30 Proなのにカメラ用レンズの穴が「1つしかない!!」というものであった。図3右のようにカメラは1基しか搭載されていなかったのだ。4眼カメラがウリのHuawei Mate30 Proなのに・・・・・・。今回入手したものは同名を名乗る別物であったわけだ(偽物とは言わない、名前だけだと言われれば反論のしょうがないかもしれないからだ)。


図3:フェイクMate30 Proのカメラ部の様子 (クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 4基のカメラを模したカメラ部の構造もデザインだと言われれば・・・・・・。今まで数百機種のスマートフォンを分解してきたが、このようなものは年に一度出会えるかどうかというレアケースなので、正規品のMate30 Proとの比較を行った。

 図4は左が2020年2月入手の別物Mate30 Pro、右がHuaweiの正規品である。ともに裏カバーを外し内部のフレームを取り除いて基板、電池などが見える状態の比較である。大きさや重さ、外観は図2のように似ているが内部はまったくの別物である。SIMカードスロットの位置も全く違えば、カメラの個数、配線の経路や電池形状までも別物であった。しかも最新のハイエンドスマートフォンでは3.5mmのヘッドフォン用端子はUSBやLightning Connectに統一されて無くなっているが、ヘッドフォン端子も左側のMate30 Proにはしっかり備わっている!! 「別物なのは仕方ないが内部はひょっとして激安スマートフォンではないか!?」。この時点でそのような予感が去来した。


図4:2つのMate30 Proの内部構造の様子。右が正規品 (クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 図1の注文時の記録と梱包箱を改めて読んでみると、3G(第3世代移動通信)と4Gの通信機能を持つという意味に取れる「3G、4G」の文字、DRAMの容量、NAND型フラッシュメモリの容量と受け取れる「8G、256G」の文字がある。スマートフォンでは一般的にメモリ容量や通信規格を4Gなどと表記するので、素直に読めばHuawei Mate30 Pro正規品と同じ、3G/4G通信対応で、8GバイトのLPDDR4Xメモリと256GバイトのNANDフラッシュが搭載されるものと受け取ってしまうだろう。しかも梱包箱にも「8+256」の文字がある。

自称Mate30 Proはわずかに6チップ・・・・・・

 図5は、2020年2月入手の別物Mate30 Pro(図左)と、正規のHuawei Mate30 Proの基板の様子である。ともに半導体チップが搭載されているが、個数が全く異なっている。正式製品には高度なプロセッシングと最新のLTE Cat.21まで対応する通信、さらに各種センサー群が搭載されており、機能チップはトータルで31個もある。


図5:2つのMate30 Proの基板上の差。右が正規品 (クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 一方、左側の自称Mate30 Proはわずかに6チップ。プロセッサとメモリ、通信用のパワーアンプとセンサー1つだけという構成であった。チップの点数が少ないということはそれだけ機能が少ないことを意味する場合が多い。また正規製品はプロセッサと密結合で通信速度を上げるPOP(Package On Package)でDRAMが実装されているが、左側はDRAMがフラッシュメモリ側に実装されるMCP(Multi Chip Memory)という構造を用いている。POPに比べてMCPは若干性能が下がるもののテストコストなどを抑えることができるのでローエンド製品やミドル仕様に多用されるものである。左側のMate30 Proはいよいよ激安レベルのものであることが明確になってきた!

 チップ点数が約5分の1・・・・・・。ミドルクラスやローエンドクラスのスマートフォンでも通常15個程度のチップが搭載されている。この別物Mate30 Proはどれほどの激安スマートフォンなのかということを明確にすべく半導体チップの素性を調べることにした。

 ここで絶対に勘違いしないでほしいことは、ここに出てくる半導体メーカーは悪意がなく関係がないということだ。これらチップメーカーはいずれもチップを提供するだけのメーカーであり、ここに存在するチップには何の問題も悪意もないということを、明記しておきたい。

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