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差動伝送ラインを雑音から守るコモンモードフィルタ(後編)福田昭のデバイス通信(232) 2019年度版実装技術ロードマップ(42)(1/2 ページ)

前回に続き、コモンモードフィルタ(CMF:Common Mode Filter)について説明する。今回は、コモンモードフィルタの種類と特性パラメータ、最近の製品動向を解説する。

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用途別と構造別の種類、特性パラメータ、製品動向を説明

 電子情報技術産業協会(JEITA)が発行した「2019年度版 実装技術ロードマップ」に関する完成報告会(2019年6月4日に東京で開催)と同ロードマップの概要をシリーズでご報告している。今回はその第42回である。

 本シリーズの第31回から、第4章「電子部品」の概要を説明してきた。第4章「電子部品」は、「4.1 LCR部品」「4.2 EMC対策部品」「4.3 センサ」「4.4 コネクタ」「4.5 入出力デバイス」の5つの節に分かれる。第39回から、「4.2 EMC対策部品」の概要を紹介している。前々回(第40回)はEMC対策部品の代表である「チップビーズ(チップフェライトビーズ、チップ型フェライトビーズインダクタ)」の概要を紹介した。前回から、チップビーズとともにEMC対策部品の代表と言える「コモンモードフィルタ(CMF:Common Mode Filter)」の概要を解説している。


2019年6月4日に東京で開催された「2019年度版 実装技術ロードマップ」完成報告会のプログラム。本シリーズの第31回から、第4章「電子部品」(プログラムの8番)の概要を紹介している。出典:JEITA(クリックで拡大)

第4章第2節「4.2 EMC対策部品」の目次詳細。ロードマップ本文から筆者が書き出したもの(クリックで拡大)

 前編(前回)ではコモンモードフィルタ(コモンモードチョークコイル)の動作原理と、コモンモードフィルタが主に差動伝送で使われる理由をご説明した。後編である今回は、コモンモードフィルタの種類(用途別と構造別)と特性パラメータ、それから最近の製品動向を解説する。

信号ライン用と電源ライン用、一般グレードと車載グレード

 コモンモードフィルタの種類を用途別に分類すると、信号ライン用と電源ライン用に分かれる。さらに、一般グレード品と車載グレード品がある。

 信号ライン用のコモンモードフィルタは、いずれも高速・低電圧の差動伝送に対応する。一般グレード品では、USB(Univarsal Serial Bus)用、HDMI(High-Deffinition Multimedia Interface)用、MIPI(Mobile Industry Processor Interface)用、Display Port用などが用意されている。同じく信号ライン用の車載グレード品では、CAN(Controller Area Network)/FlexRay用、CAN-FD(CAN with Flexible Data rate)用、A2B(Automotive Audio Bus)用、車載イーサネット用、USB用、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)用、HDMI用などがある。

 電源ライン用のコモンモードフィルタは、信号ライン用と違って高速の信号伝送は考慮していない。重視するのは大電流対応である。定格電流はフィルタのサイズと関連する。例えば、小型品の定格電流は最大4A、中型品の定格電流は最大10A、大型品の定格電流は最大18Aとなる。また商用電源ライン用コモンモードフィルタは交流の100Vあるいは200Vといった商用電源に直結するので、交流の定格電圧が250Vと高い。なお電源ライン用のコモンモードフィルタを「ラインフィルタ」と呼ぶことがある。

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