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量子化DNNエンジン搭載のAIチップを試作電力効率は汎用GPUの10倍以上

ソシオネクストは、量子化DNN(ディープニューラルネットワーク)エンジンを搭載したAIチップを試作し、その動作や性能を確認した。高度なAI処理をエッジコンピュータ側で実行することが可能となる。

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ディープラーニングソフトウェア開発環境も用意


量子化DNNエンジン搭載AIテストチップの外観 出典:ソシオネクスト

 ソシオネクストは2020年3月、量子化DNN(ディープニューラルネットワーク)エンジンを搭載したAIチップを試作し、その動作や性能を確認したと発表した。高度なAI処理をエッジコンピュータ側で実行することが可能となる。

 試作したAIチップは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として取り組んでいる「進化型・低消費電力AIエッジLSIの研究開発」の成果である。テストチップは、ディープラーニング推論処理を高速かつ低消費電力で実行するために開発された「量子化DNNエンジン」を搭載している。

 量子化DNNエンジンは、8ビットに加え、1ビット(Binary)や2ビット(Ternary)など低ビット化技術と独自のパラメーター圧縮技術を組み合わせることで、AI処理の性能向上と消費電力の削減を可能にする。

 高い効率でデータ供給を可能にするオンチップメモリ回路技術も新たに開発して搭載した。これにより、メモリの使用量も従来に比べて大幅に節減できるという。テストチップには、「Arm Cortex-A53」クアッドコアCPUも搭載しており、1チップでAI処理全体を実行できるのも特長の1つである。

 ソシオネクストは、試作したテストチップを動作させ、その性能を評価した。リアルタイムオブジェクト検出アルゴリズム「YOLO v3」による毎秒30フレームでの検出を、5W以下の消費電力で実行できることを確認した。これは、汎用GPUによる処理に比べて10倍以上の電力効率だという。

 AIチップを活用するためのディープラーニングソフトウェア開発環境も用意した。「TensorFlow」をベースフレームワークとした独自の低ビットQuantization Aware Training(量子化を考慮した学習)や、Post Training Quantization(学習後の量子化)を実行できる環境を提供する。

 ソシオネクストは今後、テストチップで用いた回路のチューニングや最適化に取り組み、研究開発プロジェクトのパートナー各社などと共同で、AIチップの早期実用化を目指す。

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