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SMICが14nmから“7nmに近いプロセス”に移行か「7nm」と言い切るには性能不足?

SMICは14nmプロセスの新バージョンであるN+1を発表した。SMICの広報担当者はEE Times Chinaに対し、「N+1は2020年第4四半期に限定生産に入る計画だ」と語った。

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世界の最先端製造プロセスに追い付きたい中国


画像:SMIC

 中国のファウンドリーであるSMICが7nmプロセスでの製造に向けて準備を進めているという報道があるが、これは正しくない。だが、SMICは同社の最新プロセス技術「N+1」とライバル企業の7nmプロセスを比較してSMICに都合の良いデータを公表しており、そのデータを参照したのであれば、間違った報道がなされたのは無理もない。

 ドナルド・トランプ米大統領が引き起こした貿易戦争は解決の兆しが見えず、中国の半導体設計企業は世界の最先端製造施設から締め出されている。こうした中、中国のファウンドリー、特に中国最大の製造施設であるSMICは、最先端プロセスに追い付くことを強く求められている。現時点で、SMICの最先端プロセスは14nmである。同社が14nmから7nmに移行したとすれば、驚くべき飛躍と言えるだろう。

 だが、これは事実とは異なる。SMICの共同CEO(最高経営責任者)を務めるMong Song Liang氏は、最近実施した会計年度報告会で、14nmプロセスの新バージョンであるN+1を発表した。SMICの広報担当者はEE Times Chinaに対し、「N+1は2020年第4四半期に限定生産に入る計画だ」と語った。

 同氏は、「N+1は、SMICの既存の14nmプロセスと比べて、性能が20%向上し、消費電力が57%減少している。さらに、ロジックエリアは63%縮小し、SoC(System on Chip)のサイズを55%縮小できる」と説明している。

 SMICは、「N+1は消費電力と安定性の面で、市場の7nmプロセスに匹敵する」と主張しているが、もちろん、ベンチマークはそれだけではない。SMICは、社内評価でN+1の性能が約20%向上したと報告しているが、市場ベンチマークでは(他の)7nmプロセスの約35%の性能にとどまっているという。

 つまり、消費電力と安定性の面では7nmと呼ぶことができるが、性能面は7nmのレベルには達していないということだ。

 SMICの広報担当はEE Times Chinaに対し、「N+1のターゲットは低コストアプリケーションで、同アプリケーションでは7nmに比べてコストを約10%削減できる」と語った。

 同氏はまた、「N+1にはEUV(極端紫外線)は必要ない」と述べている。SMICが、EUV装置をASMLから入手できれば、SMICの次世代プロセス「N+2」に導入できる可能性はある。

 次世代のリソグラフィ技術であるEUVを導入しているメーカーもある。Samsung Electronicsは、EUVを導入した新工場を開設したばかりだ。ただ、ASMLはオランダの企業であるが故に、このまま米中貿易摩擦が続けば、SMICへの装置供給は難しいだろう。つまりSMICが、世界の最先端プロセスに追い付くことも難しいということである。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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