MEMSセンサーをスマートフォンと自動車が数多く搭載:福田昭のデバイス通信(236) 2019年度版実装技術ロードマップ(46)(2/2 ページ)
今回からMEMSセンサーを解説する。MEMSセンサーの市場規模と主なアプリケーションについて説明したい。
スマートフォンはMEMSマイクを複数搭載して通話品質を改善
MEMSセンサーの応用分野として最も注目されているのは、スマートフォン向けと自動車向けである。まずスマートフォンが搭載するMEMSセンサーを説明しよう。スマートフォンは約20個のMEMSセンサーを搭載するとされる。
スマートフォンが搭載するMEMSセンサーの用途には大別すると、動き・位置検出、音声検出、環境検出がある。動き・位置検出用には3軸加速度センサー、3軸ジャイロセンサー、3軸電子コンパス、圧力センサー、超音波センサーなどを内蔵する。音声検出用にはマイクロフォン、環境検出用には温度センサーと湿度センサーなどを搭載する。なおマイクロフォンは、複数個のマイクを搭載して雑音をキャンセルするタイプが最近は主流になってきた。
MEMSセンサーの塊となった自動車
次は自動車である。最近の自動車は約33個のMEMSセンサーを搭載しており、「MEMSセンサーの塊」と呼べる状態になっている。
種類別ではジャイロセンサー、加速度センサー、圧力センサー、磁気センサー、静電容量センサー、イオンセンサー、雨滴センサーなどがある。ジャイロセンサーはエアバッグに、加速度センサーはエアバッグと電子サスペンション、エンジン振動抑制装置に使われている。圧力センサーはEGR(exhaust gas recirculation:排気再循環)システムと油圧ブレーキ、ブレーキブースター、エアバッグが搭載する。磁気センサーはアクセルポジション検出システム、スロットル開度検出システム、パワーステアリング、ドアラッチ、サンルーフ、エンジン冷却システムなどに使われる。静電容量センサーはステアリングホイール、イオンセンサーはエンジン燃焼モニター、雨滴センサーはワイパーに搭載される。
(次回に続く)
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