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光トランシーバーのForm Factor規格(その1)光伝送技術を知る(9) 光トランシーバー徹底解説(3)(2/3 ページ)

光トランシーバーには多数のForm Factorがある。今回は現在もデータコムで使用されている主流のForm Factorを独断で選び解説する。

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(2)<10Gbit/sプラガブル光トランシーバーForm Factor

 1990年頃から活発に開発されたVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)とMMF(Multi-Mode Fiber)を用いたリンクは光結合が容易なため低コストであったが、VCSELが比較的短時間に予兆無く突然故障するという問題があった。それに対処するために開発されたのがホットプラガブル光トランシーバーである。ここで言うプラガブルトランシーバーはx-pluggableであり、装置のパネルに設けられたソケットに挿入することで、奥のPCB上に固定された電気コネクターに差し込み接続する。ホットというのは装置運用中に挿抜可能で、その挿抜により該当ポート以外に影響を与えないという事である。時代とともにVCSELの信頼度は飛躍的に改善されたが、簡単に交換できるプラガブルは、今でも主流だ。

GBIC Optical Transceiver

 最初のデータコム用のプラガブル光トランシーバーであるGBIC(Gigabit Interface Converter)は、その名の通りストレージ間の1Gbit/s通信を実現するためにFibrechannelのSFF(Small Form Factor) 委員会で1995年に採用された。1998年に規格されたGbE(Gigabit Ethernet)の光モジュールとしても使用された。

 基本的には「1×9」のプラガブル版である。光コネクターはSCコネクターで、トランシーバーとPCBにソケットとアダプターがあり挿入固定する。電気コネクター仕様に特定会社の製品名が記載されているのも、MSAでは可能なことである。


図7 GBIC光トランシーバー例の外形写真
項目 説明
規格文書 SFF-8053
光インタフェース 2連SCコネクター
送受信のコネクター位置は図9参照
電気インタフェース 20-pin model of the AMP SCA-2 connector
ピンアサインは図8参照
機械的仕様 製品外形仕様を図9に示す
製品例 CiscoのGBIC製品例


図8 GBIC光トランシーバーの電気ピンアサイン

図9 GBIC光トランシーバーの外形図(Agilent HFBR-5601 data sheet、製品廃止の可能性も)

SFP Optical Transceiver

 これに対し、細径のLCコネクターに対応したMini GBICとも呼ばれるSFP(Small Form-factor Pluggable)が2000年にMSAで規格化され、2001年にSFF委員会に採用された。SFF委員会規格ではINFのカテゴリーであり、MSA規格がそのままコピーされている。SFPはデータコムで広く使用され、この後、データ速度の増加とともにSFP+、SFP28などとデータコムの市場でシリアルトランシーバーの主流となっていく。

 小型細身のSFPでは、トランシーバー内部のPCBのエッジをPCB上の電気コネクターに挿抜するカードエッジコネクター方式を採用した。このための20pin (position)のエッジの金属パタンは、ホットプラガブルを実現するためGND、電源、信号等が順次接続されるように規格化されている。

 また、トランシーバーを挿入し、固定するケージも規格化された。だが、規格を満足するケージや電気コネクターに挿入した時に問題が起こった。光トランシーバーと挿入するPCB上の部品(ケージと電気コネクター)のサプライヤーが通常異なり、その組み合わせによって挿抜に必要な力が仕様を満たさなかったり、挿抜できない場合が生じたのだ。

 このため、SFPを採用する際には、ユーザーが実際に使用するサプライヤーのケージや電気コネクターで挿抜力を測定するという事が行われた。また、電気コネクターで電源がショートするケースもあった。もちろん、これらは改善されていった。

 SFPでは3ピンある“MOD DEF”の2ピンを用いて、トランシーバーの情報を蓄積したEEPROMにアクセスできる機能が導入された。この機能は“Digital Diagnostic”あるいは単に“Serial Interface”と言われ、SFP以降のSFF委員会が採用するMSAで拡張されていく。このインタフェースをATMELAT24C01A/02/04シリーズの”2-wire serial CMOS E2PROM protocol”と製品インタフェースを採用しているのも、MSAらしいところである。


図10 SFP光トランシーバー例の外形写真 (Finisar and Cisco)
項目 説明 備考
規格文書 INF-8074  
光インタフェース 2連LC、MT-RJコネクター 双方向トランシーバーなどでは単LCの製品もある
電気インタフェース 20-pinコネクターはMSAで定義
コネクターを図13に示す
トランシーバピン配置を図11に示す
 
機械的仕様 製品外形仕様を図12に示す
トランシーバーを挿入するケースを図14に示す。
 
管理インタフェース 2-wire serial interface(EEPROMインタフェース)  
製品例 II-VI(ex−Finisar)の製品例
FIT(ex-Avago)の製品例
 


図11 SFP光トランシーバーの電気ピンアサイン

図12 SFP光トランシーバーの外形図

図13 SFP電気コネクターおよびPCBパタン

図14 SFPケース

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