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エレクトロニクス関連企業の新型コロナ対策や取り組み随時更新中(1/2 ページ)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大は、エレクトロニクス業界の企業活動にも、さまざまな影響を与えている。ここでは業界の関連企業や団体が発表した事業の対策や感染拡大防止に向けた取り組みなどをまとめていく。(随時更新、既報の内容含む)

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大は、エレクトロニクス業界の企業活動にも、さまざまな影響を与えている。ここでは業界の関連企業や団体が発表した対応策や感染拡大防止に向けた取り組みなどをまとめている。(随時更新、既報の内容含む)


EE Times Japan/EDN Japan/MONOistでは、製造業における新型コロナウイルス関連の記事をまとめた特設サイトも公開しています。ぜひご覧ください



アルプスアルパイン[4月27日17:00更新]

 アルプスアルパインは2020年4月27日、COVID-19の影響による需要増に伴い、人工呼吸器の操作デバイスとして使用される磁気式エンコーダー「EM11Bシリーズ」の増産体制を整備した、と発表した。通常の5倍以上となる月産10万個の生産体制をとり順次提供を開始する。同社は、「今後も顧客ニーズや感染状況などを考慮しながら、引き続き生産調整を行っていく」としている。


磁気式エンコーダー「EM11Bシリーズ」 出典:アルプスアルパイン

 COVID-19の感染拡大に伴い、その治療法の1つとして有効とされている人工呼吸器や人工心肺装置が全世界でひっ迫しており、現在、国内外の多くのメーカーが、政府などの要請を受けて同機器の増産を進めている。

 EM11Bシリーズは人工呼吸器において、疾病患者に送還する空気の量/気圧/吸入時間の調整や、それらのモード変更などを行う操作デバイスとして利用されているもので、同社は、「優れた操作性や信頼性、小型などの特長が認められ、高い評価を得てきた」と説明。今回、各人工呼吸器メーカーからの増産要請を受け、通常の5倍を上回る、月産10万個の生産体制を整備し、順次提供を開始していくという。なお、この増産体制は、他用途向けの生産を一時的に調整することも含めつつ生産能力を確保しているという。

Analog Devices[4月24日10:45更新]

 Analog Devices(ADI)は、COVID-19のパンデミックへの医療業界の対応をサポートする行動計画を発表している。ADIはこの行動計画によって酸素吸入器、人工呼吸器、診断検査システム、輸液ポンプ、患者モニター機器、CTスキャン装置やデジタルX線検査装置の画像診断システムなど、COVID-19患者の診断と治療に必要不可欠な医療機器に採用されている計測/制御技術の生産を加速するとしている。

 具体的には、以下の取り組みを行っている。

  • 日ごとの受注残の分析により、顧客の中から現在の状況において重大な医療機器メーカーを特定し優先的に製品を供給。供給環境を改善する。
  • 専用の製造ラインを用意して医療機器用製品の生産量を増やし、顧客からの注文増に対応する。
  • 防護具、社会的距離戦略(social distancing guidelines)、清潔な労働慣行を製造チームに提供、従業員の健康と安全を守る。
  • 世界各地の行政/公的機関と協力し、自社工場または外部委託業者の工場の操業を維持、必要不可欠な医療技術製品の生産を継続できるようにする。

 ADI社長兼CEO、Vincent Roch氏は、「ADIはCOVID-19との戦いの最前線で使用されている医療機器に不可欠な医療用製品の供給確保と迅速な出荷のためになし得る、あらゆる行動を実施している。また、バイオセンサー企業、研究病院、国際的な人工呼吸器を作るためのオープンソースプロジェクト(Open Source Ventilator project)との協力により、専門分野の知識を活用し、最も必要とされる場所で画期的な技術と設計支援を提供している」と述べている。

 ADIは、慈善事業部門「アナログ・デバイセズ基金(Analog Devices Foundation)」を通じて、国連財団が協賛する「世界保健機構(WHO)COVID-19連帯対応基金」などの支援を行うことも表明している。

 さらに、ADIは2020年4月23日、マサチューセッツ総合病院(MGH)のワクチン免疫療法センター(VIC)に、研究資金として50万米ドルを寄付したことも発表した。VICはCOVID-19に対するワクチンと新しい臨床検査技術の開発に取り組んでいる。

 ADIとVICは、COVID-19に対して、検出可能な免疫反応を示す人とウイルス陰性の人の識別/確認に役立つ、新しい試験の開発/展開のための臨床試験を支援しているという。また、ADIのセンシング技術を利用した迅速な臨床検査法の開発や、隔離中のCOVID-19患者に遠隔からリアルタイムで生体信号モニタリングする方法も研究している。

パナソニック[4月21日10:20更新]

 パナソニックは2020年4月20日、同社がCOVID-19感染拡大に対して同社が行う不足物資提供などの支援について発表した。同社は、「緊急事態宣言の全国拡大など、COVID-19感染の長期化とそれに伴う医療物資などの不足は深刻な状況だ」と説明。自社のリソースを最大限活用し各種支援に取り組んでいくとしている。

 主な支援内容は下記の通りだ。

【1】医療物資として転用可能な物資の提供

 同社が事業活動などで備蓄している医療用手袋、医療用ゴーグル、防塵服、N95マスク、ゴム手袋など、医療用に転用可能な物資を寄付する。

【2】マスクの自社生産

 パナソニックコネクティッドソリューションズ社が保有するクリーンルームにマスク生産設備を導入し、主に社内向けのマスク生産に着手。外部調達を削減することで市場のマスク供給の安定化につなげる。また、医療用マスクの生産についても検討する。

【3】次亜塩素酸空間除菌脱臭機「ジアイーノ」の医療機関への提供

 次亜塩素酸を用いた空間除菌で高い評価を得ている「ジアイーノ」を医療機関に寄付する。(ジアイーノは医療機器ではないため、「新型コロナウイルス」など特定の菌、ウイルスに係る疾病予防や治療の効果については検証していない)

【4】クリーンルームの提供

【5】移動型除菌ソリューション「HOSPI-mist」の提供

 病院での薬剤/検体などの自律搬送ロボットとして実績のあるHOSPIに除菌剤噴霧機能を搭載した、自律移動による空間除菌ソリューションを提供する。


Avnet

 Avnetは2020年4月14日(米国時間)、同社の開発者コミュニティーである「Hackster.io」が、国際機関などと協力して、新型コロナウイルス(COVID-19)の検出を簡単に行えるソリューションの設計を技術者に呼び掛けていると発表した。

 Hackster.ioは、COVID-19の流行から発展途上国を支援するために、国連開発計画(UNDP)および12社の技術企業と協力している。4月14日から始まったプロジェクト「COVID-19 検出&保護チャレンジ」では、医療などの面で脆弱な地域において、COVID-19の検出と人々の保護を迅速かつ簡易に行えるサービスを実現することが目標だ。具体的には、感染拡大や医療崩壊を最小限に抑えるためのハードウェアソリューションを10個、実現するという。同プロジェクトはHackster.ioとUNDPが共同で管理。UNDPが上位10個のアイデアを選抜し、そのクリエーター(入賞者)は賞金を獲得することが可能だ。

 Avnetは、入賞者が製品化を短縮できるよう、ビジネス、技術、設計、製造の点でサポートする。

Infineon Technologies

 Infineon Technologies(インフィニオン テクノロジー)は2020年4月9日(ドイツ時間)、医療用人工呼吸器製造のため約3800万個のパワー半導体を提供していることを公表した。同社のパワー半導体は、米国の医療機器メーカーResMedの製品を含め、人工呼吸器のモーターを確実かつ効率的に制御するのに不可欠な製品として利用されているという。

 Infineonの取締役会メンバー兼CMO(最高マーケティング責任者)、Helmut Gassel氏は、「人工呼吸器製造のため約3800万個のパワー半導体を提供することで、今回の危機を乗り越えるお手伝いができることをうれしく思う。Infineonは、これらのコンポーネントのグローバルなマーケットリーダーとして、製品を速やかに提供できるように尽力している」と述べている。

 また、「多くのメーカーが自社製品の焦点を拡大、変更しており、当社に対して特別な需要に迅速に対応するのに必要なコンポーネントを求めている」と、医療機器分野における要望が増加していることにも触れ、「現在Infineonでは医療機器への移行を進めている」と説明している。

 ResMedのCEO、Mick Farrell氏は、「このような半導体を迅速に提供するInfineonの取り組みに、本当に助けられている」とコメントを寄せている。

Maxim Integrated Products

 Maxim Integrated Productsは2020年4月13日、COVID-19パンデミック期間中の需要増大に対応するため、医療用技術製品の生産を強化していることを明らかにした。

 Maximの半導体デバイスは、ウイルス検出装置、超音波診断装置、分析/ラボ用装置、人工呼吸器、患者遠隔モニタリング装置、静脈血流モニター、重要なCOVID医薬用の温度ロガー、パルスオキシメーター、リモート患者/IR体温計、糖尿病患者用の血糖値計、麻酔器、血圧用の使い捨てパッチなどの医療機器で使用されている。同社の社長兼CEO、Tunc Doluca氏は「当社は、この世界的パンデミックの影響を軽減することに尽力する。この病気との闘いを支援するため生産能力の調整を行い、COVID-19患者の診断と治療に役立つ医療機器で使用されている製品を優先する」と説明している。

 また、技術製品の生産強化に加え、例えば米国オレゴン州ポートランドとシリコンバレーの病院へのN95マスク寄贈や、その他感染地域を支援するための資金調達も実施。その他、フィリピンのカビテ州において現場作業者用に個人用防護具を配布し、同地域の食料に対する寄付も毎週提供しているという。Maxim本社では、社員がセカンドハーベストフードバンクを支援するキャンペーンに参加。同社は社員による寄付の同額を2万米ドルまで企業として寄付するとしている。

 自社向けの取り組みとしては、「社員の健康と安全を守るため、包括的な事業継続計画の一環として必要な予防措置を取っており、テスト機器の頻繁な除染、ソーシャルディスタンス確保、ほとんどの社員のリモートワーク化などの対策を適用している」と説明している。

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