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Arm、半導体の新興企業にIPアクセスを無償提供へ「Cortex-A/R/M」や「Mali」も(1/2 ページ)

Armは2020年4月30日、2019年6月に発表した「Arm Flexible Access」プログラムを拡充し、半導体関連の新興企業向けに初期ライセンスを無償で提供してサポートする新しいイニシアチブ「Arm Flexible Access for Startups」を発表した。調達資金が500万米ドル未満の新興企業を対象として、Armの最も重要な一部のIP(Intellectual Property)へのアクセスを、初期コストゼロで提供するという。

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 Armは2020年4月30日、2019年6月に発表した「Arm Flexible Access」プログラムを拡充し、半導体関連の新興企業向けに初期ライセンスを無償で提供してサポートする新しいイニシアチブ「Arm Flexible Access for Startups」を発表した。調達資金が500万米ドル未満の新興企業を対象として、Armの最も重要な一部のIP(Intellectual Property)へのアクセスを、初期コストゼロで提供するという。


半導体関連の新興企業向けにも門戸を開いた「Arm Flexible Access」 画像:Arm

 Arm Flexible Accessは、ライセンスを定額で使用できるようにすることで、製品設計の際のコストなどを最小限に抑えられるプログラムだ。1年間当たりの料金は、テープアウトの回数が年1回のみの場合は7万5000米ドル、無制限の場合は20万米ドルに設定されている。

 しかし、無数に存在するごく小規模な新興企業にとっては、次の投資ラウンドで資金を調達するために自社製品のメリットを提案するデモを披露していく上で、それでもまだ高額な料金設定だといえる。Armは、「今回拡充したArm Flexible Accessの新しい側面として、初期段階の新興企業向けに、幅広い種類のArm IPに無償でアクセスできるようにした。新興企業は、製品開発サイクル全体を通して、さまざまなArmソリューションを使って実験や設計、試作などを行うことができる」と述べている。

 新興企業向けプログラムで利用可能なArmベースのプロセッサとしては、「Cortex-A/R/M」シリーズの他、GPUファミリー「Mali」の一部、基本的なSoC(System on Chip)ビルディングブロック、セキュリティIPなどが挙げられる。


今回の拡充で新興企業がアクセス可能になるIP群 出典:Arm

 Armのビジネストランスフォーメーション担当ディレクターを務めるPhil Burr氏は、「プログラムの参加企業は、Armの膨大な製品ポートフォリオに自由にアクセスすることができる。設計や再設計が可能なだけでなく、もし何らかの理由で事業計画が変更になった場合には、新しい設計への方向転換も可能だ。またライセンス料に関しては、製品化して支払いが可能になるまでは発生しない。このため、ライセンス料として支払わずに済んだ資金を、代わりに製造コストやパッケージング、マーケティングなど、さまざまな用途向けに投入することができる」と述べる。

 Burr氏は、EE Timesのインタビューに応じ、「新興企業は現在、非常に厳しい環境に置かれているため、当社としては、その負担を軽減したいと考えている。Armにとっては負担を抱えることになるが、正しい選択だと思っている」と述べる。

Armの巨大なエコシステムも活用できる

 米国の市場調査会社であるTirias Researchの主席アナリストを務めるJim McGregor氏は、Burr氏の見解に同意しているようだ。McGregor氏は、EE Timesとの電子メールのやりとりの中で、「今回のArmの動きは、特に現在のような環境下にある新興企業にとって、非常に重要だといえる。Arm Flexible Accessプログラムの全体的な要点としては、さまざまな企業が新しい設計を試せるようにするということがある。さらに新興企業だけを対象とした新たな段階として、ライセンス料の支払いに縛り付けられる前に、テープアウトを実現できるようになった。また新興企業は、新製品の迅速な市場投入を実現するための膨大な知識と実績の宝庫とされる、Armエコシステムを利用することもできる」と述べている。

 Burr氏は、「プロセスの中には数多くのステップがあるが、個人的には、動作を機能させる上で欠かせない“検証”を重視している。Arm IPは、膨大な検証サイクルに対して、一連の試験を行っている。顧客企業からは、『Armは、シリコンやEDAフロー全体、ファウンドリー全体で膨大なサポートを提供している。半導体チップの種類によっては、少なくとも3人年の取り組みに相当するのではないか』と評価されている。新興企業にとっては、大きな救いの手になるだろう」と述べている。

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