パワー/化合物半導体設備投資額、2021年に最高へ:SEMIが発表
SEMIは、パワー半導体と化合物半導体デバイスを製造する前工程ファブに向けた設備投資額が、2020年後半に反発すると予測した。2021年には過去最高となる69億米ドルの投資額を見込む。
2020年後半には反発、回復基調へ
SEMIは2020年5月5日(米国時間)、パワー半導体と化合物半導体デバイスを製造する前工程ファブに向けた設備投資額の予測を発表した。最終製品の需要回復に伴い、投資額は2020年後半に反発、2021年には過去最高となる69億米ドルの投資額を見込む。
SEMIは、800を超えるパワー半導体と化合物半導体関連の設備/ラインについて、その設備投資や生産能力などに関するデータを収集している。最新の「SEMIパワー及び化合物半導体ファブアウトルック 2024」には、2013年から2024年まで12年間の情報が収録されている。
これによると、2019年は804の設備/ライン合計で、月産800万枚(200mmウエハー換算)の生産能力を持つ。設備/ラインへの投資額は、2020年に前年比で8%減少するが、2021年は急回復し前年比59%の増加と予測した。また、新たに38の設備/ラインが2024年までに生産を始める予定で、その時点で月産能力は合計970万枚となる。新設分で全体の生産能力を約20%押し上げることになる。
ファブ生産能力を地域別にみると、2019〜2024年で最も増えるのは中国。パワー半導体が50%増、化合物半導体が87%増と予測した。この他、同じ期間で大きく増加する地域として、パワー半導体は欧州/中東と台湾、化合物半導体は米国と欧州/中東を挙げた。
パワー半導体や化合物半導体デバイスは、コンピュータや通信機器、エネルギー機器、自動車など、さまざまな機器において、電力制御用途などに用いられている。特に最近は、新型コロナウイルスの影響もあって、オンライン通信に必要なサーバやPCなどに向けた需要が急増しているという。
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