「期初予想はるかに上回る」CIS大幅増収、ソニー:2020年度通期見通しは未定(1/2 ページ)
ソニーは2020年5月13日、2020年3月期(2019年度)通期決算を発表した。CMOSイメージセンサーが中心となるイメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野の売上高は、前期比22%増の1兆706億円、営業利益は同917億円増の2356億円となった。スマートフォンなどモバイル機器向けで大幅増収した。
ソニーは2020年5月13日、2020年3月期(2019年度)通期決算を発表した。CMOSイメージセンサーが中心となるイメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野の2019年度売上高は、前年度比22%増の1兆706億円、営業利益は同917億円増の2356億円となった。スマートフォンなどモバイル機器向けで大幅増収した。ソニーの専務CFO(最高財務責任者)、十時裕樹氏は「旺盛な需要、大判で高付加価値な製品へのシフト加速、競争力の高い新製品投入などポジティブな要因が重なり、期初予想をはるかに上回る結果となった」と述べた。
ソニーの2019年度通期連結売上高は、前年度比5%減の8兆2599億円、営業利益は同5%減の8455億円、純利益は同36%減の5822億円で、減収減益となった。売上高減は、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響が大きかったエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)分野および、ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野の大幅な減収が影響した。EP&S分野はスマートフォンやテレビの販売台数減、G&NS分野は「プレイステーション4」のハードウェアやゲームソフトの販売数減が減収要因としている。
2020年度のイメージセンサー売上高、「前年度並みの可能性」
一方で、I&SS分野については、引き続きモバイル機器向けのイメージセンサーが好調で、製品ミックスの改善および販売数量の増加によって大幅増収となった。同分野では製造事業所もCOVID-19の大きな影響を受けておらず通常通り操業している。また、主要顧客の工場稼働や部品供給についても「回復が進んでいると認識している」と述べた。
ただし、2019年度第4四半期のモバイル機器関連顧客の生産/販売のマイナス影響と比較し、イメージセンサー出荷の減少幅が軽微だったといい、「顧客のサプライチェーン上の在庫が増加している可能性がある」と説明した。このほかスマホ市場の減速に伴う販売数減や、それに伴うハイエンド製品からミッド、ローエンド製品へのシフトによる製品ミックス悪化の可能性もある、と言及。こうしたCOVID-19感染拡大のスマホ市場への影響を踏まえ、十時氏は、2020年度のイメージセンサー売り上げ規模について、「前年度並みにとどまる可能性もあるとみている」と語った。
ただ、「スマホの大きな差異化要因であるカメラ機能の向上をけん引するイメージセンサーの位置付けと中長期的な需要拡大トレンドに対する見方に現時点で変更はない」とも付け加え、中期計画で示した3カ年の累計投資計画については、「8割強はすでに投資の意思決定を行っている」と説明。残りの2割については足元の需要に合わせて必要なタイミングで行っていくとしている。
ウエハーベースの生産能力は、2019年度第4四半期で月産約12万3000枚(3カ月の平均値)で、2020年度第1四半期中に約13万3000枚(同)とする見込みという。生産については2019年度第4四半期はフル稼働だったが、2020年度第1四半期はモバイルおよびデジタルカメラ向けで若干生産調整を見込んでいる。
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