光トランシーバーのForm Factor規格(その2):光伝送技術を知る(10) 光トランシーバー徹底解説(4)(1/3 ページ)
前回に続き、光トランシーバーのForm Factor規格を紹介する。
前回に続き、光トランシーバーの主なForm Factor規格をまとめる。
(4)40G光トランシーバーForm Factor
10G光トランシーバーでは、MSA(Multi-Source Agreement)がシステムベンダーとサプライヤー双方に有益であり、市場拡大やビジネス戦略として重要であることが認識された。
だが、次世代40Gは期待したほど大きな市場規模とはならなかった(筆者も現場にいたので、なぜそうなったかについてはいろいろ意見もあるのだが、また別の機会に執筆したい)。一方で、市場規模こそ、10Gほどではなかったが、40Gによってハイパースケールデータセンターが生まれたことは確かである。
40Gは巨大なファイバーインフラを有するテレコムで必要とされ、伝送システムやルーターで300-pin MSAトランシーバーが採用された。
データコム光トランシーバーではVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)や回路基板は高速化が困難であったため10G×4でリンクを定義したが、これを実現するQSFP+が規格化された。
一方、2010年初頭にハイパースケールデータセンター実現の構想が練られ、テレコム同様ファイバーはインフラとして20年、つまり光技術の4〜5世代使用される前提でシングルモードファイバー(SMF)化が必須であった。このため、IEEE 802.3のSMF10kmの規格LR4(10Gx4CWDM)を、必要な2kmにしたカスタム仕様、通称LR4 LITEが採用され、QSFP+が水面下で大量に供給された(数年間の秘密保持は筆者には奇跡としか思えないが)
300-PIN MSA Optical Transceiver
2000年ごろからテレコムやルーター応用分野で10Gの次世代として40Gが開発された。それをサポートしたのが300-pin MSAであった。
最初はルーター向けに2kmの40G NRZが開発された。当時40G NRZの1310nm EA-DFBは開発初期であったため、サプライヤーが複数あった1550nmが採用された。大規模ルーター内や伝送システム局内光配線で採用され市場に出回った。
また、LNが搭載可能なサイズであったため、40G DPSK、DQPSKなどの伝送方式によるテレコム応用にも使用された。
【300-pin MSA】
10G同様、300-pinコネクターを使用したz-Pluggable (PCBに垂直に挿抜)のOn-board Optics。ただし、10Gと40Gはピンコパティブルではない。
- 16データ電気入出力+クロック (3Rトランシーバー)
- LN、EMLやDFBなどさまざまな光デバイスに対応し長距離から短距離応用(ITU-T、IEEE802.3仕様)
- ピッグテール光ファイバー入出力(光コネクター無依存)
- OIF SFI-5
- I2Cシリアルインタフェース
- Specification Documentはこちら
【QSFP+ Optical Transceiver】
10G×4の光モジュールのForm Factorとして採用されたのがQSFP+(Quad SFP+)である。最初に2004年に規格化されたQSFP(4x1G) MSA仕様を、SFF委員会にて40Gに採用したものだ。
QSFP+は、VCSELを使用した10Gを4本接続するためにBreak out fiber cableとともに使用された。前述したように、2010年に入ってシングルモードファイバー(SMF)を採用したハイパースケールデータセンターでは、カスタム仕様LR4 LITEのQSFP+がキーコンポーネントとして採用され、大量に使用された。
項目 | 説明 |
---|---|
規格文書 | SFF-8436 |
光インタフェース | MPO connector (IEC 61754-7) Dual LC (IEC 61754-20) |
電気インタフェース | 38-pinコネクターはMSAで定義 トランシーバーピン配置を図3に示す |
機械的仕様 | モジュール外形仕様を図4に示す コネクターを図5に示す モジュールを挿入するケージを図6に示す |
管理インタフェース | 2-wire serial interface (EEPROMインタフェース) |
製品例 | II-VI(元Finisar)のSR4製品例、LR4製品例、LR4-LITEの製品例 |
【QSFP+ の拡張(QSFP+10、QSFP+28、QSFP+14)】
QSFP28は、QSFP+を4×28Gに拡張したモジュールで100GbEの主要なForm Factorだ。さらに、OIFで112Gの電気インタフェースとIEEE 802.3cuの100G per Lambdaが規格化されれば、QSFP112が400GbEのForm Factorとして規格化されるだろう。
QSFPの規格の体系を図7に示す。
QSFP+は4×1GのQSFP MSA規格を4x10Gに拡張したものであった。QSFP MSAの規格はSFF委員会ではINF-8438で採用されている。
- INF-8438: QSFP (Quad Small Formfactor Pluggable) Transceiver/(※再記述になるがQSFP+の規格がSFF-8436)
- SFF-8436: QSFP+ 4X 10 Gb/s Pluggable Transceiver/
2014年にSFP+同様規格の体系化が行われた。関連規格は下記の通り。
外形寸法規格等(SFF-8661)、電気・光インタフェース等(SFF-8679)、管理インタフェース規格(SFF-8636)は共通である。カードエッジのピンの長さ(接触順位)はSFF-8661にある。また、カードエッジのピンアサインや機能、電源仕様、タブのカラーコード、光レセプタクル仕様などはSFF-8679に記述されている。
少し混乱したのが、ケージと電気コネクターである。4×28Gへの拡張においてより厳しくなるEMIの規格を満たすために新しいStyle Aという規格ができた。それに対し、ケージを共通にし、コネクターを工夫し、従来のケージでもEMI対応したStyle B規格ができた。バックワードコンパティを重要視する場合Style Bが使用される。
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