負荷容量で一切発振しない高速オペアンプ、ローム:10月からは月産100万個体制(1/2 ページ)
ロームは2020年5月21日、高速な信号増幅(スルーレート=10V/マイクロ秒)に対応しつつ負荷容量で一切発振しない高速CMOSオペアンプ「BD77501G」を業界で初めて開発した、と発表した。
ロームは2020年5月21日、高速な信号増幅(スルーレート=10V/マイクロ秒)に対応しつつ負荷容量で一切発振しない高速CMOSオペアンプ「BD77501G」を業界で初めて開発した、と発表した。既にサンプル出荷は始めており、同年10月からは月産100万個体制で量産を開始する予定だ。
計測機器や制御機器で使われる異常検知システム、微小信号を扱う各種センサーなど、高速のセンシングを必要とする産業/民生機器向けとして提供。今後ラインアップを拡充し、車載向けへの展開も進める方針だ。同社は、「センサーなどの後段に設置した際、負荷容量と外部ノイズの影響を受けずに高速な信号増幅が可能になるので、アプリケーションの設計工数削減と高信頼化に大きく貢献できる」としている。
「Nano Cap技術」用いた製品第1弾
BD77501Gは、異常検知システムや微小な信号を扱う各種センサー向けなど、近年高まる高速タイプのオペアンプへの需要に対応した製品だ。CMOS構造を採用したことで、0.001nAの低バイアス電流を実現し高精度化するとともに、10V/マイクロ秒の高スルーレートに対応している。
一般的な高速オペアンプは、出力配線などの負荷容量が原因で発振してしまい、その安定性に課題があった。それに対し、従来は出力配線を短くするなどの「対症療法的な解決策しかなかった」(同社)が、今回、同社は全ての出力負荷容量帯で位相余裕が0度以上(=発振しない)を実現する独自技術「Nano Cap」を用いることで、この課題を解決したという。
Nano Cap技術は、ロームの回路設計、レイアウト、プロセスの技術を結集し、配線抵抗、寄生容量を最小化することで安定制御を実現するというもの。具体的には、オペアンプの増幅率を維持しつつ、増幅段を削減するといった独自の回路設計技術を適用。このほか配線を短くしたり、他ラインとの干渉を小さくしたりするレイアウト技術、素子自体の規制容量を小さくするプロセス技術を活用している。BD77501Gは、このNano Cap技術を用いた初めての製品だ。
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