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生体認証技術の日本展開を加速する仏セキュリティ大手「今後の軸の一つに」(2/3 ページ)

安全性や利便性の観点から、指紋や顔、光彩などを用いて個人を認証する「生体認証」の利用が近年拡大している。セキュリティ/認証技術世界大手のIDEMIA(アイデミア/日本法人:アイデミア・ジャパン)は、2020年から「非接触型指紋認証デバイス」の日本展開を開始。独自技術を用い、触れることなく迅速な本人認証が可能となるデバイスで、オフィスや工場のアクセス管理のほか、施設内での決済など用途を拡大していく方針だ。今回、同社の事業内容や日本市場での展開について、アイデミア・ジャパン代表取締役の根津伸欣氏に話を聞いた。

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登録は30秒、認証は1秒以下、3Dカメラ用いた独自認証技術

 こうして多くの実績を積み上げてきた認証技術のノウハウを用いて開発したのが、非接触型の3D(3次元)指紋認証デバイスだ。同社は2014年、第一弾として「MorphoWave Tower」を発表。2018年には小型、軽量、高機能化を進めた「MorphoWave Compact」をリリースした。


IDEMIAの非接触型3D指紋認証デバイス「MorphoWave Compact」 画像:IDEMIA

 MorphoWave Compactは、AI(人工知能)を活用した同社独自の3D指紋認証技術によって、手の厚みなども含め高速で指紋を読み取ることができるデバイスだ。3Dカメラを用い、人の指紋データをモーションで取得しており、手を動かした状態で登録や認証ができる。登録作業は片手で15秒、両手で30秒程度で完了し、1秒以内に4本の指の指紋を照合可能となっている。壁などに取り付けられる小型軽量のデバイスだが、スタンドアロンで親指以外の両手8本の指紋データを約10万人分取り込むことが可能だ。

 MorphoWave Compactは、手を固定することなく、センサー上を横切らせるだけで認証ができるという利便性が大きな特長だ。根津氏は、「通常のスキャナータイプであれば、指を置きその部分しか指紋情報を取ることはできないが、モーションでデータを取得するこのデバイスでは、指の表面だけでなく横側の情報もまとめて取得することが可能になっている。取得する情報量がスキャナータイプより多くなることで、例えば利用時に手の通し方が不安定であったり、指の端部分しか映っていなかったりした場合でも、特長点を一定の数値捉えてさえいれば照合を行うことができる」と説明している。

アクセス管理用途の課題を解決するデバイス

 アイデミアの接触型指紋認証デバイスは、民間企業のアクセス管理用途として、「需要が非常に大きくなってきている」としている。

 根津氏は、「従来のアクセス管理はICカードを導入している企業が多いが、カードの場合は貸し借りや紛失の恐れがある。特に貴重品や危険物を扱うような現場など、高いセキュリティが求められる場合に大きな課題となっている」と語り、そうした課題への対応策として生体認証デバイス導入が加速していることに言及。生体認証のなかでも、接触型の認証デバイスでは衛生面でのや手入れの懸念があるほか、顔認証はマスクを着用する現場などには向かないことから、「近年、非接触の指紋認証の需要が拡大している」のだという。


各種非接触型リーダー規格やQRコードに対応。小型軽量のため壁への取り付けなども可能だ 画像:MorphoWave Compactの紹介動画のスクリーンショット

 MorphoWave Compactは、パスワードや、Prox、iClass、MIFARE/DESFireといった非接触のリーダー規格にも対応することで多要素認証も可能となっている。QRコード読み取りもできるため、来訪者の対応も可能だ。

 さらに、出入りが多いロビーなどでは1本分の指紋が合えばOKとし、逆にサーバルームや金庫などでは4本分が合わなければNGにするといったように、求められるセキュリティレベルに合った認証パラメータの設定もできる。

 前述のような高速かつ高精度の認証機能のほか、導入先のニーズに対応できるさまざまな機能を有していることから、2018年のリリース以降、「オフィスや工場、クリティカルなインフラなど広い方面から需要があり、具体的な数字は言えないが、大きな数字を出している」としている。

 海外では、富裕層の住むエリアへのアクセス管理用途としての導入実績もある。ここでは高速な認証速度を生かし、自動車に乗ったまま手をかざす形で認証を行っているという。

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