復刻版ゲーム機でたどる半導体30年の進化:製品分解で探るアジアの新トレンド(46)(1/4 ページ)
ここ4〜5年で、家庭用ゲーム機の復刻版が次々と発売されている。分解してチップを比べると、半導体が30年で遂げてきた進化が見える。
次々と発売されている復刻版ゲーム機
2010年代半ばごろから、かつて大ヒットしたゲームが生誕30周年、40周年を迎え“復刻版”(外観と当時の機能が忠実に再現されたもの)として発売されている。ブームの火付け役となったのは、2016年に任天堂が発売した「ニンテンドークラシックミニ ファミコン」だろう。
それ以前も、ファミコンやアーケードゲーム機を模した商品は多数存在していた。しかしそれらはいわゆる「そっくり商品」であり、類似のゲームが実行できるだけだった。だが上記のような復刻版では、オリジナルのメーカーが自ら監修し、当時のゲームソフトウェアを多数取りそろえて、往年のゲームファンに向けて市場掘り起こしを行っている。
図1は2016年から2020年に発売になった復刻版ゲーム機の一覧(代表的なもの)だ。外観は元祖のまま、ただし小型化され、当時必要であったソフトウェアを挿入するROMスロットなどが廃止され、基板上のフラッシュメモリにあらかじめデータが書き込まれている。テレビと接続する端子はHDMIだ。
これ以外にも復刻商品は多数存在する。2019年にはソニー「ウォークマン」やNECの名機「PC-8001」などが生誕40周年を迎え、ウォークマンは記念モデル、PC-8001は復刻版がおのおの発売されている。
図2はウォークマンの40周年記念モデルと初代モデルの外観だ。搭載される機能も大きさも、圧倒的に異なっている。記念モデルでは通信機能、GPS機能なども備わっており、メインのプロセッサは14nmプロセスを活用する高度なもの。外観は似ているが、中身は40年の差を大いに感じられるものとなっている。弊社は初代と40周年モデル両方の全チップを開封解析し、テカナリエレポート377号で報告している。
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