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復刻版ゲーム機でたどる半導体30年の進化製品分解で探るアジアの新トレンド(46)(3/4 ページ)

ここ4〜5年で、家庭用ゲーム機の復刻版が次々と発売されている。分解してチップを比べると、半導体が30年で遂げてきた進化が見える。

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ほぼ同じチップで構成されている「Core Grafx mini」と「Genesis mini」

 図7は2020年3月にコナミデジタルエンタテインメント(KDE)から発売された「PC Engine Core Grafx mini」(以下、Core Grafx mini)の外観である。Core Grafx miniは、NEC-HE(NECホームエレクトロニクス)が発売した往年の名ゲーム機「PCエンジン」の復刻版(欧州モデル/日本版は「PCエンジン mini」)で、オリジナルよりも1cm程度小型化されているが、コントローラーや本体まで忠実に再現されている。オリジナルは1987年に誕生したPCエンジンの第2世代に当たるもので1989年の商品である。


図7:コナミデジタルエンタテインメント(KDE)が2020年3月に発売した「PC Engine Core Grafx mini」 出典:テカナリエレポート(クリックで拡大)

 復刻版の内部は6チップで構成されている。図7のように、瑞起のプロセッサ「Z7213」、中国Xi'an UniIC Semiconductors(以下、UniIC)のメモリなどが採用されている。

 表1は2020年発売のCore Grafx miniと2019年に発売されたセガの名ゲーム機「GENESIS」(北米版、日本では「メガドライブ」)の復刻版、「Genesis mini」に搭載されている主要チップの一覧である。


表1:Core Grafx miniと「Genesis mini」に搭載されているチップの比較 出典:テカナリエレポート(クリックで拡大)

 両機とも、オリジナル版では異なるチップで動作していた(GENESISはMotorolaの「MC68000」、PCエンジンは当時販売会社であったハドソンのチップセットを採用していた)。復刻版2機種の内部はともにプロセッサが瑞起、DRAMがUniIC、電源ICが中国X-POWERS、HDMI出力用のトランスミッターが台湾EXPLOREという同じものであった。

 近年のプロセッサの性能は極めて高いので、おおよそ30年前の異なるプロセッサで構成されたものを一つのプロセッサで再現することも容易(決して“楽々”という意味ではない)となっている。2機種の差は搭載されているNAND型フラッシュメモリの容量だけ。コントローラー側に搭載されるマイコンも同じものであった。

 ハードウェアは一緒、搭載されるプラットフォームは一方がGenesis miniで、もう一方がCore Grafx miniとなっている。ハードウェアとは器なので、器の進化を読み取っておくべきだろう。器が大きくなれば多くのものを入れることができるわけだ。

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